長鎖不飽和脂肪酸の回に
二重結合が登場したので
もうちょっとだけ二重結合の勉強をしよう
普通の結合では分子内の部品達は
結合軸を中心にかなり自由に回転運動している
しかし二重結合になると
増加した余分な結合のおかげで
その回転が阻害されることになる
その結果
cis体
trans体
上の二つの構造は違うものとなる
回転することができれば同じ形になるだろうに
回転できないから別の物質とされるのだ
上のように曲がっていくような構造をシス(cis)
(二重結合を軸に同じ側に置換基がある)
下写真のように真っ直ぐな構造をトランス(trans)
(二重結合を軸に反対側に置換基がある)
と呼ぶ
このシス-トランス異性体は
我々の体でも巧妙に役立てられている
cis-レチノール
これは以前ビタミンAとして紹介したレチノールである
このレチノールは眼球の網膜にあり
酸化されたレチナールという形で
網膜のタンパク質と結びついている
その形状はcis体だ
そして
目に光が入るとそのエネルギで
レチノールの二重結合が回転しトランス体に変わる
trans-レチノール
すると形状が変わったために
タンパク質(ロドプシンという)
と結びついていられなくなり外れてしまう
その信号が脳に伝わって初めて
我々は物を見ることができるのだ
ビタミンAが欠乏すると目に良くないのは
すごく直接的な理由があったのだね
cis-trans異性体の話は明日も続けるつもり
次回「トランス脂肪酸の恐怖」で・・・
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