日々の戯れ

鈴柩の頼りない脳細胞に代わる記憶

脂質(分子模型)

2007-06-25 | 分子模型図鑑

脂肪酸の回に

ステアリン酸は牛の脂などに多いとか

リノール酸は植物に多いとか書いたが

実は脂肪酸の形で存在しているわけではない

 

ステアリン酸とグリセリン 

Dsc06715

上の写真は3つの脂肪酸グリセリンである

トリステアリン

Dsc06716

グリセリンの3つのヒドロキシル基(水酸基)と

脂肪酸のカルボキシル基が

水分子を脱して結合する

これが脂質だ(中性脂肪)

ステアリン酸3つでトリステアリンというべき脂質

トリリノレイン

Dsc06722

不飽和脂肪酸とグリセリンのくっついた油脂

こういう形で生体内の脂肪分になっておる訳だ

その他にリン脂質とか糖脂質など

様々な形で脂肪酸は体内で活躍している

 

糖脂質(ガングリオシド)

Photo_230

左側の糖質に脂肪酸が結合している

糖脂質は細胞同士の連絡調整部分に使用されるらしい

以前掲げた血液型を決める抗原部分も糖脂質だった

リン脂質(レシチン)

Photo_229

こちらは普通の脂質の脂肪酸1本が

リン酸とコリンに置換されている

リン脂質は細胞膜の主要構成員なので

あらゆる食物に入っていると思ってよい

マヨネーズで油と酢の仲を取り持つのが

卵に含まれるレシチンだ

Photo_231

リン脂質はこんな形で細胞膜を形作る

脂肪酸の部分でくっついて

上下二層の面を作っている

ところどころにタンパク質や糖脂質が顔を出す

 

脂肪は太るからと嫌われがちだが

生物にとって実に重要な役目を負っている

脂質がないと細胞も存在できない

前回話したエイコサノイド

実はリン脂質のアラキドン酸から作られていくのだった

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トランス脂肪酸(分子模型)

2007-06-20 | 分子模型図鑑

マーガリンの原材料を見ると
 
原材料  食用植物油脂、食用精製加工油脂、食塩、粉乳、乳化剤、香料、着色料(カロテン)、(原材料の一部に大豆を含む)、大豆菜種コーン油
 
のように多種の材料名が並んでいる。
対して

バターの原材料は
 
原材料  生乳、食塩
 
実にシンプルだ

それはバターが古くから人間の生活によりそってきた証拠でもある

 
マーガリンは人造バターとして

歓迎されて登場した

植物性油脂を使っているので健康によい

というイメージを持たれていた

コマーシャルでも

健康イメージでガンガン売ってきた

近年ではマーガリンによる

健康被害の可能性が謳われている

マーガリンの原材料は

バターと違って植物油であり

植物油には不飽和脂肪酸が多いので液状である
 
液状のままでは人工バターとしては都合が悪いので

「食用精製加工油脂」という加工した油を使う

どういうものかというと

不飽和脂肪酸の二重結合に水素を付加させて

不飽和脂肪酸の例

Photo_218

飽和脂肪酸を作って固体にし

バターに似せるのだ

飽和脂肪酸の例

Photo_219

この時点で実はもう

自然な植物油じゃなくなっている訳だが

さらに落とし穴があった
 
水素が付加しきらなかった分子の二重結合が

加工の際に回転してトランス構造になってしまうのだ

自然界の油はほとんどがシス構造の曲がった脂肪酸だ

 
cis-リノール酸

Photo_220

それがマーガリンの場合

加工段階で自然界にほとんどない

トランス脂肪酸が含まれてしまう

trans-リノール酸

Photo_221

このトランス脂肪酸

動脈硬化・心筋梗塞のリスクを高めることが分かってきて

欧米では規制が始まっている

日本では今のところ無規制だが

ネットを中心に火がつき始めているところだ
 
 

そしてマーガリンの受難は

トランス脂肪酸だけでは終わらないのだった・・・つづく

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

二重結合(分子模型)

2007-06-19 | 分子模型図鑑

長鎖不飽和脂肪酸の回に

二重結合が登場したので

もうちょっとだけ二重結合の勉強をしよう

 

普通の結合では分子内の部品達は

結合軸を中心にかなり自由に回転運動している

 

しかし二重結合になると

増加した余分な結合のおかげで

その回転が阻害されることになる

その結果

cis体

Dsc06751

trans体

Dsc06752

上の二つの構造は違うものとなる

回転することができれば同じ形になるだろうに

回転できないから別の物質とされるのだ

 

上のように曲がっていくような構造をシス(cis)

(二重結合を軸に同じ側に置換基がある)

下写真のように真っ直ぐな構造をトランス(trans)

(二重結合を軸に反対側に置換基がある)

と呼ぶ

 

このシス-トランス異性体は

我々の体でも巧妙に役立てられている

cis-レチノール 

Photo_216

これは以前ビタミンAとして紹介したレチノールである

このレチノールは眼球の網膜にあり

酸化されたレチナールという形で

網膜のタンパク質と結びついている

その形状はcis体

そして

目に光が入るとそのエネルギで

レチノールの二重結合が回転しトランス体に変わる

trans-レチノール

Photo_217

すると形状が変わったために

タンパク質(ロドプシンという)

と結びついていられなくなり外れてしまう

その信号脳に伝わって初めて

我々は物を見ることができるのだ

 

ビタミンAが欠乏すると目に良くないのは

すごく直接的な理由があったのだね

 

cis-trans異性体の話は明日も続けるつもり

次回「トランス脂肪酸の恐怖」で・・・

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

長鎖不飽和脂肪酸(分子模型)

2007-06-15 | 分子模型図鑑

前回は長鎖脂肪酸をステアリン酸まで紹介した

ステアリン酸(再褐)

Photo_207

今回紹介する脂肪酸の多くは

炭素数がステアリン酸と同じ18個だ

もちろんカルボキシル基も同じだ

ではどこが違うのかというと

水素の数である

ステアリン酸が全ての手で水素をつかんでいるのに対して

今日の脂肪酸は水素を手放して

炭素同士が2本の手でつながっているのだ

このような結合を二重結合と呼び

二重結合を持つ脂肪酸を

不飽和脂肪酸と呼ぶ

重要な脂肪酸なので

聞いたことのある名前が多いと思う

 

オレイン酸

Photo_208

炭素数は18、二重結合が1つある

写真を見てわかるように

二重結合がある脂肪酸はそこで曲がった分子になる

その結果、分子が密着した整列ができなくなるので

低い温度で融けやすい

 

リノール酸

Photo_209

炭素数は18、二重結合が2つある

ますます折れ曲がった形になった

その分やはり融点も低くなり

ステアリン酸が70℃ぐらい

(肉を焼けば油が落ちるよね)

なのに対して

オレイン酸が13℃ぐらい

(口の中で融けるよ)

リノール酸は5℃だ

(植物油は液体状)

 

αリノレン酸

Photo_210

炭素数は18、二重結合が3つある

ここまでくると融点-11℃

なんと真冬でも液体だ

不飽和脂肪酸のもう一つの特徴として

酸化されやすいということが上げられる

二重結合の所の炭素が不安定で

隙あらば他のヒトと手を繋ごうとするのだ

それを利用して

乾性油等に使われる

油絵の具を溶かし

徐々に酸化されて他の分子と手を繋ぐことで

固体に変わるのだ

 

エイコサペンタエン酸(EPA)

Photo_211

炭素数は20、二重結合が5つもある

分子の形状が丸くなってしまった

融点-54℃

冷たい海中でも固まらないので

魚の中に多く含まれる

 

ドコサヘキサエン酸(DHA)

Photo_212

炭素数は22、二重結合が6つもある

ここまで来ると形もよくわからない

DHAは近年大スターになったので

良くご存じであろう

もちろん魚に多く含まれる

でも「魚を食べると頭が良くなる」は

話半分に聞いておいたほうがいいだろう

 

ちなみに

エイコサペンタエン酸の名称は

エイコサ(炭素20個で)ペンタエン(二重結合5つの)脂肪

ドコサヘキサエン酸は

ドコサ(炭素22個で)ヘキサエン(二重結合6つの)脂肪

という意味

この後

トリコサ(23)テトラコサ(24)ペンタコサ(25)と続く・・・

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

長鎖脂肪酸(分子模型)

2007-06-05 | 分子模型図鑑

脂肪酸の続きである

鎖の長くなった脂肪酸の紹介をする

 

ラウリン酸

Photo_195

炭素数12

ココナッツやヤシの油に含まれる

石鹸やシャンプーに良く使われる

 

ミリスチン酸

Photo_196

炭素数14

ココナッツやヤシの油に含まれる

石鹸やシャンプーに良く使われる

パルミチン酸

Photo_197

炭素数16

豚や牛の油に多く含まれる

石鹸やシャンプーに良く使われる

 

ステアリン酸

Photo_198

炭素数18

豚や牛の油に多く含まれる

石鹸やシャンプーに良く使われる

最もポピュラーというべき脂肪酸

 

今日の脂肪酸は説明がほとんど同じだった

それもその筈

生物の体の脂肪には

様々な長さの脂肪酸が混然としているからだ

炭素数が全て偶数なのは

生体内で合成される際に

2個ずつ鎖が長くなるからなのだ

炭素数が奇数の脂肪酸は自然界には

まず存在しない

 

例えば炭素数17の脂肪酸があるが

マーガリンを作る際にできてしまう脂肪酸で

その名もマルガリン酸という

 

石鹸に使われる訳は

長い炭化水素の部分が油と仲良く

右側のカルボキシル基の部分が水と仲良く

水と油の仲を取り持つその性質による

Photo_199

取り持ち方はこんな感じだ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鎮痛剤(分子模型)

2007-05-28 | 分子模型図鑑

今日は特別篇

昨日のサリチル酸からスピンオフして

解熱鎮痛剤について紹介しよう

 

日本でも柳の木が楊枝に使われていたように

世界各地で古くから

柳の木に沈痛作用があることは知られていた

 

19世紀はじめ

ヤナギの樹皮を煮て作った黄色の塊

柳の解熱沈痛成分にサリシンと名をつけた

 

サリシン

サリシン

この分子はサリチル酸の配糖体

すなわちサリチル酸が糖と化合したものである

写真の左半分がサリチル酸、右がブドウ糖

 

1838年イタリア人ピエリが

サリシンからサリチル酸の精製に成功

サリチル酸

サリチル酸

その針状の白い結晶が

人類が初めて手にした鎮痛剤だった

 

しかしサリチル酸は鎮痛作用と共に

フェノールの腐食性を合わせ持ち

胃に穴をあけて腹膜炎を起こすなどの

大きすぎる副作用を持っていた

 

ドイツのバイエル社は

アセチル酸の構造をちょっと変えることで

副作用を減らすことに成功した

世界で初めて合成された医薬品

アセチルサリチル酸である

彼らはそれをアスピリンという商標で販売する

アスピリン(アセチルサリチル酸)

アスピリン

アスピリンは現在でも使われている鎮痛剤だ

バファリンの優しさでない方の半分だ

アセチル化という改良では

サリチル酸の胃を荒らす副作用は

完全に無くすことはできなかったのだ

だから

バファリンの優しい半分は

胃を荒らさないための制酸剤である

 

その他にもサリチル酸を祖先にした

解熱鎮痛剤の改良は続いている

 

エテンザミド

エテンザミド

アスピリンのカルボキシル基の部分に

アミノ基をつけたもの

セデスナロンエースノーシンなどに配合されている

 

アセトアミノフェン

アセトアミノフェン

これもセデスノーシン

配合されている

 

イブプロフェン

イブプロフェン

お尻がずいぶん重そうになった鎮痛剤だが

イブAナロンエースに使われている

これら新しい薬は

鎮痛作用の強化ではなく

副作用の軽減を図っている

マイルドアスピリンといった所か

 

アスピリンの合成ができなければ

これらお馴染みの薬もなかったかと思うと

感慨深いものがある

 

ちなみにサリチル酸からは

もう一つ

サリチル酸メチルという薬品も生まれている

サリチル酸メチル

サリチル酸メチル

これも沈痛作用があり

シップや軟膏などに配合されている

サロンパスサロメチールトクホン

サロメチールなんか

サリチル酸メチル→サリチル酸メチール→ 

サリメチール→サロメチール ばんざーい

って名づけられたのが丸わかりだね

 

というわけで人間達は

ヤナギ様に足を向けて寝られないのである

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

芳香族カルボン酸(分子模型)

2007-05-27 | 分子模型図鑑

カルボン酸の続き

ベンゼン環にカルボキシル基の付いた化合物だ

 

安息香酸

安息香酸

最も簡単な芳香族カルボン酸

安息香はエゴノキ科の植物から取れる樹脂だ

匂い成分はバニリンだからヴァニラの香りだが

安息香酸のエステル(カルボン酸とアルコールの化合物)

を多く含む

抗菌作用があり

保存料として使用された

 

フタル酸の仲間

フタル酸

カルボキシル基が2個付いている

付く位置によって3種の異性体がある

左から

フタル酸

イソフタル酸

テレフタル酸

・・・だから

o-(オルト)フタル酸、m-(メタ)フタル酸p-(パラ)フタル酸

でいいじゃないかと何度言えば・・・(略)

テレフタル酸は両側でエステルを作れることを利用して

ポリエステル繊維

ポリエチレンテレフタレート(PET)の原料となる

 

メリト酸

メリト酸

冗談のような化合物だ

ベンゼンの6角形の全てがカルボキシル基

生体ではなく鉱物の中から発見されている

黒鉛酸の名を持つ

大して重要な化合物ではないが

面白い形をしているので

図鑑としては載せておきたい

無水メリト酸

メリト酸

上のメリト酸から水分子が3つ逃げ出していったもの

コレも形状が面白い

さらに赤(酸素)と黒(炭素)だけというのがスパルタン

そんなのは一酸化炭素&二酸化炭素

ぐらいしか思いつかない

 

サリチル酸

サリチル酸

フェノールにカルボキシル基がついたもの

あるいは

安息香酸にヒドロキシル基がついたもの

薬学的に重要な化合物なので

サリチル酸については項を改めて紹介する

 

没食子酸

没食子酸

没食子は染料などに使われたタンニン

ブナ科植物の若芽にある種の蜂が産卵した時

その刺激により生じた虫コブを乾燥させたもの

この形は以前見た記憶があると思う

ポリフェノールで紹介した

http://blog.goo.ne.jp/suzukiqqq/d/20070511

タンニンの基本骨格なのだ

 

桂皮酸

桂皮酸

これも多くの植物に含まれる

このベンゼン環が酸化してヒドロキシ基がつくと

コーヒーのポリフェノールであるコーヒー酸に変わる

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジカルボン酸(分子模型)

2007-05-18 | 分子模型図鑑

一昨日

スイバに蓚酸が含まれていることを書いた

ついでなので

シュウ酸の仲間を紹介・・・

カルボキシル基が2つ付いた化合物を

ジカルボン酸と言う

脂肪酸とは言わない

 

シュウ酸(再褐)

Photo_169

紹介は済んでいるがシュウ酸

ジカルボン酸は

全てのシュウ酸の水素イオンが1個はずれると

2個目の水素イオンが外れ出す

一粒で二度すっぱいカルボン酸

シュウ酸はカタバミ・ホウレンソウなどにも

含まれる

 

マロン酸

Photo_170

マロン酸のマロンは

栗の事ではなくギリシャ語でりんごだそうだ

次に紹介するコハク酸に似ているために

体内でコハク酸と間違われる

体にとってあまり良くない

 

コハク酸

Photo_171

コハク酸は高校生物で習う

クエン酸回路の生成物の一つだ

そのせいか体はおいしいものと認識するのか

旨味を持つ

酸味を消して旨味だけにするために

中和するとコハク酸ナトリウムになり

旨味調味料として利用される

 

フマル酸

Photo_172

不飽和ジカルボン酸

フマル酸もクエン酸回路を構成する物質の一つ

クエン酸回路については後述の予定・・・

コハク酸やフマル酸は

家庭生活に関わりがないかというと

実は

発泡入浴剤の成分である

重曹(炭酸水素ナトリウム)のナトリウムを

酸が強引に横取りし

フリーになった炭酸がガスとなって

あわのお風呂を作りあげる

「バブ」の場合はフマル酸が使われている

 

マレイン酸

Photo_173

マレイン酸は前項のフマル酸と

実は部品は全て同じである

比較して見てほしい

炭素4、水素4、酸素4

ただカルボキシル基の付く位置が異なる

これを幾何異性体という

マレイン酸は

カルボキシル基同士が近すぎるために

酸素1個水素2個が「水分子」として

逃げ出してしまう状態になる

それを無水マレイン酸という

無水マレイン酸

2_9

無水マレイン酸は

水が十分あればマレイン酸に戻る

フマル酸の場合は無水にはならない

幾何異性体についても後述の予定

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

短鎖脂肪酸(分子模型)

2007-05-15 | 分子模型図鑑

カルボキシル基

新しい官能基である

水酸基に酸素が追加されたような形をしている

これはカルボキシル基というものだ

カルボキシル基の付いた化合物の特徴は

酸だということだ

Dsc06765

もう一つの酸素に電子をひっぱられて

電子を失った水素は旅に出る

その水素を水素イオンといい

水素イオンこそが酸の正体だ・・・と

フェノールの回にも述べた

これから述べていくカルボキシル基の付いた化合物を

カルボン酸という

そのうちカルボキシル基が1個だけのものは脂肪酸といい

炭素数が8から10のものが中鎖脂肪酸

それ以上が長鎖、短いのが短鎖である

 

蟻酸(ぎさん)

蟻酸

最も簡単なカルボン酸

アリの仲間が持つ毒液の正体がこの蟻酸だ

メタノールを飲んで失明に至るのは

メタノールがホルムアルデヒドを経て

酸化された時にできるこの蟻酸が

原因だといわれている

 

酢酸(さくさん)

酢酸

炭素数が一つ増えただけで

蟻酸よりずいぶん優しくなった

酢酸は食酢の主成分だ

酸っぱい酸っぱい

エチルアルコールが酸化されてできるのが酢酸だ

これは体の中でも外でも変わらないので

お酒が古くなって酸化が進むと

酸っぱくなる

「酢」 は微生物の力で酸化を促進させて作っている

 

プロピオン酸

プロピオン酸

炭素数3つ

酢酸はかなり刺激の強いにおいだが

プロピオン酸もかなり不快なにおいだそうだ

脂肪酸は嫌なにおいが多いようだ

アルコールとは大違いだ

そして炭素数が増えるにつれて

酸っぱいにおいから動物的なにおいがまじっていく

 

酪酸(らくさん)

酪酸

炭素数4

酪酸というだけあって

牛乳を加工した時に見つかった酸

チーズのにおい、銀杏の皮の悪臭

体臭にも含まれる

 

吉草酸(きっそうさん)

吉草酸

炭素数5

これもくさい

足のむれたにおい

納豆のにおい

汗のにおいにも含まれていそう

 

カプロン酸

カプロン酸

炭素数6

カプロン酸のカプロンは

ヤギの事

ヤギの毛の油から得られたそうだ

ヤギのにおいがする

この辺から

獣臭が強くなっていくのだなあ

そして

液体のカプロン酸以降

中鎖・長鎖の脂肪酸は固体になり

酸よりも油としての性格を濃くしていくのだった

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ポリフェノール(分子模型)

2007-05-11 | 分子模型図鑑

健康番組を見ると
いいかげんなことを書きちらしてるなあ
と思うのだが

 

そんな番組に頻繁に出てくる言葉がある
ポリフェノールだったり
フラボノイドだったり
ゴマリグナンだったり
茶カテキンだったり
大豆イソフラボンだったり
色々あるようだ

 

分子模型図鑑では
これらを一気に済ませてしまおう

 

というのも
これらは皆似たり寄ったりの化合物だからだ

 

ポリフェノールは何千種類もある
あらゆる植物がなんらかの
ポリフェノールを備えていると思ってよい

 

食用になるポリフェノールの大部分は
フラボノイドだ
フラボノイドのノイドは
「~のようなもの」「~もどき」「~族」
といった意味だ
モンゴロイド「モンゴル人種」
ヒューマノイド「人間に似たもの」
アンドロイド「男に似たもの」
セルロイド「セルロースもどき」
アステロイド「恒星のようなもの」
といった言葉もある

フラボノイドは「フラボンに似たもの」
二連の環状構造にベンゼン環がくっついた形をしている
別の位置にベンゼン環がくっつくと
「もう一つのフラボン」イソフラボンという構造になる

フラボノイド系の他にもポリフェノールがあり
構造によって
クロロゲン酸系(コーヒー…)
フェニルカルボン酸系(ゲンノショウコ…)
エラグ酸系(イチゴ・リンゴ…)
リグナン系(ゴマ(セサミン)…)
クルクミン系 (ターメリック…)
クマリン系(パセリ・人参…)
などに分けられる

フラボノイド系の中も細かく分かれ
イソフラボン(大豆…)
ケルセチン(ブロッコリ…)
アントシアニジン(各種の花…)
ヘスペレチン(ミカン…)
カテキン(茶…)
アピゲニン(セロリ…)
ルチン(そば…)
枚挙に暇がない
週に1本これらを主役にして
健康番組を作っても
何クールでも持ちそうだ

 

では分子模型を一気にご覧頂く

アントシアニジン

アントシアニジン
これに糖がくっつけばアントシアニン
花々の色素

 
イソフラボン(大豆)

イソフラボン

カテキン(茶)

カテキン
 

エピカテキン(カカオ)

エピカテキン

 
クリシン(果皮)

クリシン

 
ケンフェノール(ぶどう)

ケンフェノール

 
ヘスペレチン(柑橘)

ヘスペレチン

セサミン(ゴマ)
セサミン

 

タンニン(柿)

タンニン

タンニンは構造の名前ではなくて
口に入れて渋いもの一般をいう
ポリフェノールがどんどんくっつくと
タンニンになるような
加水分解型タンニン

タンニン

 
縮合型タンニン

タンニン

さて植物はなんのために
ポリフェノールをつくるのかというと
大きな理由の一つが紫外線対策
動物でいえばメラニン色素のようなもの
メラニンの分子模型も見ていただこう

 
メラニン

メラニン
タンニンとメラニンを見比べて
大きく違うのは
メラニンに窒素が含まれていることだ
これは原料の違いによる
植物はブドウ糖を材料にしているが
動物はアミノ酸を材料にしている
本当に生き物にとって
紫外線は恐いものなのだなあ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする