ここ数十年のあいだ
「健康的な植物性オイル」
「リノール酸は体にいい」
政府・マスコミ・メーカーこぞって薦め
日本人のリノール酸摂取量は頂点に達した・・・
今、その過剰摂取の弊害が認められてきている
そもそもリノール酸が健康に良いと言われ出したのは
戦後のアメリカで発表された
「動物脂肪はコレステロール値を上げ
植物脂肪はコレステロール値を下げる
すなわち心臓病予防になる」
という説からだった
しかしその後の追試によって
リノール酸にそんな効果がないことは分かっている
それどころかリノール酸過剰だと心臓死が増える
ということすら言われている
そしてリノール酸過剰摂取が
アレルギー体質やアトピー性皮膚炎
の原因(の一つ)だということが現在ではわかってきた
リノール酸(再掲)
リノール酸はこのような形状の不飽和脂肪酸だ
体内では酵素によって酸化されどんどん変身していく
ジホモガンマリノレン酸
まず炭素数が2個増え
アラキドン酸
二重結合が四つになったアラキドン酸という
重要な脂肪酸が作られる
アラキドン酸がなぜ重要かというと
様々な生理活性を持つ伝達物質の元になるからだ
それを総称してエイコサノイドという
エイコサノイド
どれもアラキドン酸が酸化されて(赤い酸素が増えている)
ねじれたような姿をしている
左上から
プロスタグランジンA2
プロスタグランジンB2
プロスタグランジンC2
プロスタグランジンD2
プロスタグランジンFα2
プロスタグランジンFβ2
トロンボキサンA2
トロンボキサンB2
それぞれに炎症,痛み,腫れの調整
血圧,心機能,胃腸機能と消化酵素の分泌調整
分娩誘発などの生殖機能の制御
腎機能と流動調節血液凝固と血小板凝集
アレルギー反応,神経伝達,各種ホルモンの産生
などホルモンにも似た様々な効果を発揮する
どれも似たような姿をしているのに
血圧を上げたり、下げたり
ちゃんと区別されているのがすごい
以前鎮痛解熱剤を紹介したが
アスピリンを始めとするこれらの鎮痛剤は
シクロオキシゲナーゼという酵素が、アラキドン酸から
プロスタグランジンを合成するのを邪魔することで
炎症と発熱を止めるのだ
プロスタグランジンE2
これが炎症、発熱、痛みをつかさどるプロスタグランジン
話を元に戻そう
アレルギー反応は
ロイコトリエンB4
トロンボキサンA2
こういったリノール酸由来のエイコサノイドが
体内で過剰になることで起こる・・・
つくづく食生活はバランスが大事だということだ
人間の浅はかな考えで
リノール酸だけ多くとるような食事を続けると
敏感な子供の体から異変は起きてくるのだ
肝に銘じておこう
ここで誤解していけないのは
リノール酸は必須脂肪酸には違いないということ
善悪二元論に陥ってはいけない
体に必要だけど、取りすぎてはいけないのだ
そしてそれはリノール酸だけに限らない
各種サプリメントなど現在の状況に
何時しっぺ返しが来るかわからないということは
想定しておくべきだろう
さて被告のマーガリンだ
我々は
リノール酸満載でトランス脂肪酸も含まれた
この人造バターをこれからも食べていくべきだろうか
うちの近所のコンビニ
バターがなくて
マーガリンしか置いてないんだよなあ・・・