日々の戯れ

鈴柩の頼りない脳細胞に代わる記憶

リノール酸信仰の終焉(分子模型)

2007-06-22 | ニセ科学

ここ数十年のあいだ

「健康的な植物性オイル」

「リノール酸は体にいい」

政府・マスコミ・メーカーこぞって薦め

日本人のリノール酸摂取量は頂点に達した・・・

 

今、その過剰摂取の弊害が認められてきている

 

そもそもリノール酸が健康に良いと言われ出したのは

戦後のアメリカで発表された

「動物脂肪はコレステロール値を上げ

植物脂肪はコレステロール値を下げる

すなわち心臓病予防になる」

という説からだった

しかしその後の追試によって

リノール酸にそんな効果がないことは分かっている

それどころかリノール酸過剰だと心臓死が増える

ということすら言われている

 

そしてリノール酸過剰摂取が

アレルギー体質やアトピー性皮膚炎

の原因(の一つ)だということが現在ではわかってきた

 

リノール酸(再掲)

Photo_222

リノール酸はこのような形状の不飽和脂肪酸だ

体内では酵素によって酸化されどんどん変身していく

ジホモガンマリノレン酸

Photo_223

まず炭素数が2個増え

アラキドン酸

Photo_224

二重結合が四つになったアラキドン酸という

重要な脂肪酸が作られる

アラキドン酸がなぜ重要かというと

様々な生理活性を持つ伝達物質の元になるからだ

それを総称してエイコサノイドという

エイコサノイド

Photo_225

どれもアラキドン酸が酸化されて(赤い酸素が増えている)

ねじれたような姿をしている

左上から

プロスタグランジンA2

プロスタグランジンB2

プロスタグランジンC2

プロスタグランジンD2

プロスタグランジンFα2

プロスタグランジンFβ2

トロンボキサンA2

トロンボキサンB2

それぞれに炎症,痛み,腫れの調整

 血圧,心機能,胃腸機能と消化酵素の分泌調整

 分娩誘発などの生殖機能の制御

 腎機能と流動調節血液凝固と血小板凝集

 アレルギー反応,神経伝達,各種ホルモンの産生

などホルモンにも似た様々な効果を発揮する

どれも似たような姿をしているのに

血圧を上げたり、下げたり

ちゃんと区別されているのがすごい

 

以前鎮痛解熱剤を紹介したが

アスピリンを始めとするこれらの鎮痛剤は

シクロオキシゲナーゼという酵素が、アラキドン酸から

プロスタグランジンを合成するのを邪魔することで

炎症と発熱を止めるのだ

プロスタグランジンE2

Photo_226

これが炎症、発熱、痛みをつかさどるプロスタグランジン

 

話を元に戻そう

アレルギー反応は

ロイコトリエンB4

Photo_227

トロンボキサンA2

Txa2

こういったリノール酸由来のエイコサノイドが

体内で過剰になることで起こる・・・

つくづく食生活はバランスが大事だということだ

人間の浅はかな考えで

リノール酸だけ多くとるような食事を続けると

敏感な子供の体から異変は起きてくるのだ

肝に銘じておこう

ここで誤解していけないのは

リノール酸は必須脂肪酸には違いないということ

善悪二元論に陥ってはいけない

体に必要だけど、取りすぎてはいけないのだ

そしてそれはリノール酸だけに限らない

各種サプリメントなど現在の状況に

何時しっぺ返しが来るかわからないということは

想定しておくべきだろう

 

さて被告のマーガリンだ

我々は

リノール酸満載でトランス脂肪酸も含まれた

この人造バターをこれからも食べていくべきだろうか

 

うちの近所のコンビニ

バターがなくて

マーガリンしか置いてないんだよなあ・・・

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