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ぼっこれあんべぁの似合う人

2020年05月26日 | 雑記帳
 先週、職場で雑談していたときに田植え機の話となり、非常に懐かしい言葉が飛び出した。「ぼっこれあんべぁ」。地域的にどの辺りまで通用するかわからないが、口にした人は私よりずいぶん年下なので、少なくとも羽後町や秋田県南部では、ポピュラーな遣い方だったろう。「ぼっこれる」+「あんべぁ」の複合語だ。


 2語とも『秋田のことば』には見出し語として載っていない。もう一つ厚い『秋田方言辞典』も調べてみた。「ぼっこれる」は「ぼっこれる⇒ぶっこわれる」として表記されている。前書では「ぼっこれたまぐら」として、かの有名な「くされたまぐら」(何にでも口出しする人)と同義として載せられているのみだった。


 「あんべぁ」は「あんばい」でこれは「塩梅・案配」という語の訛りだ。しかし秋田弁としては頻度が高いと思われる。方言辞典の方には載っていたが、『秋田のことば』には、単独でなく「あんべぁわり」(具合が悪い)として挙げられている。「いいあんべぁ」などもよく使われるはずだが、訛りでは見出し語は無理か。



 何故「ぼっこれあんべぁ」が胸に引っかかったかというと、どう訳すかと考え即座に「壊れかけ」と口をついて出たためだ。それから「ぼっこれあんべぁのradio」(笑)という曲名がすぐ連想され、そこから最近「ぼっこれあんべぁ」という語を使わなくなった…そういうモノが少なくなった…修理もしない…すぐ棄てる…


 「ぼっこれあんべぁ」の響きのよさに惹かれて、そんなふうに想が連なってしまった。今「だましだまし」の精神で、物品ならず身体も支えている自分にはぴたりと似合ったということか。それにしても困難な世の中で、TVに登場する面々の中にも「ぼっこれあんべぁ」が多いなあ。あっ、名前と同じあのお方も…