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定年後に考える定年後

2020年05月25日 | 読書
 「定年(後)」をテーマにした書籍は、いわゆる団塊世代をねらって二十年ほど前からたくさん出版されているはずだ。自分も時々手にしてきたし、刺激になったこともある(実行できているかはまた別)。著者の多くは当然年上だったが、同齢の人たちも書くようになったと、改めて「定年後だな」(笑)との思いを強くする。


 『俺たちの定年後』(成毛 眞  ワニブックスPLUS新書)


 成毛眞は同世代の一つのモデルとして注目していた。華やかな経歴通りに軽快で歯切れのいい語り口だ。この新書は読者層を50代ぐらいに想定した「60歳からの生き方指南」。「やりたいこと」を「わがまま」にするための発想をせよ、人やモノや時間との「つきあい」方を変えよ…まあ、ある程度予想できる提言だ。


 ほんのいくつか自分も出来ていると思う内容もあったが、やはり生活の拠点が都会か地方かという違いは大きい。交通、文化、地域社会等々かなり複数の観点で指摘できる。もちろん、いずれであっても行動を支える金銭的余裕があれば実現できる。しかし馴染めるかどうかは、背負ってきた環境による度合が大きい。



 それはさておき「自分を拡張するツール」という考え方はいかにも著者らしい。スマホの新調ばかりでなくメガネや双眼鏡等、意外に細かい。他章で「照明」や「服装」があったように、快適に過ごすための目の付け所に感心させられる。ツールは一人一人違っていいが、肝心なのは「使いこなす精神」のあり方なのだ。


 最終結論は「やりたいことをやり、やりたくないことはやらなくていい」。この言をどのレベルで考えるか。「やりたくないこと」に対する許容度、負荷のとらえ方は…そんなふうに思い巡らすと、年齢に関係なく結局は「心身」の慣らし方に思えてきた。感染問題を抱える今、受動的ばかりではいけないと言い聞かせる。