すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

動詞遣いの迷人

2018年07月27日 | 雑記帳
 田舎者が都会に出ると、無意識に(いや十分意識的に)方言を隠そうとする。紛れもなく自分もその一人。還暦超えがそんなことに見栄はってどうすると思いつつ、それは東北人の性か。つい使ってしまうふだんの方言、特に動詞遣いにストップをかける瞬間が出てくる。今回の旅の最初は秋田空港内ラウンジだった。


 出発時刻を待つ間に、生意気にもラウンジへ入って新聞でも読もうと思った。ルームへ入り無料のミルクティーを持ってテーブルへ。飲んでいる最中に手元が狂い、カップが横倒しになってお茶がこぼれ、テーブルを汚した。受付へ行き、「すみません、お茶をマガシテ…」とつい言いそうになり、あぶない、あぶない。



 次は宿の大浴場で。大と言っても3,4人しか入れない広さだ。朝に汗流しのつもりで入る。先客も居ず体を洗って浴槽に入るとずいぶん熱い。再び洗い場へ。お客さんが一人入ってきて同じように浴槽へ。そしたら「おっ、熱い」と囁く。で、思わず「水、ンメテいいですよ」と言いたくなったが…あぶない、あぶない。


 言ってからあっと思った。帰りの飛行機出発が間近なので、急いで到着した出発ゲート内の売店だ。バッグを肩にかけ、飲み終えた水のペットボトルを手にしていた。なかなかゴミ箱が見つからず、売店のレジで会計の折に頼もうと考えた。買った商品を渡しつつ「すみませんが、このボトル、ナゲデもらえませんか。


 店員は変な顔もせずに、にこやかな笑みをたたえ、潰したボトルを受け取る。その笑みを見ながら、今までの努力が台無しだ!とは思わなかったが、100点を逃したようで悔しい。しかし、無意識にどこかで使ってはいただろうな…。最後に秋田県人以外への解説「マガス→こぼす」「ンメル→薄める」「ナゲル→捨てる