すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

懐かない本だってある

2017年08月13日 | 読書
 懐かない本はある。「どんな本でも10分間集中して読めば、絶対に入り込んでいくものだ」と、誰かの言葉にあった気がする。いや、もしかしたら高学年担任のときに、子どもたちにエラソウにそんなことを語ったのかもしれない。しかし今…「それは大袈裟でした。合わない本はあります」とお詫びして訂正します。



2017読了80
 『離婚』(色川武大  文春文庫)

 昭和の直木賞作品。続編、前編めいた作品とともに文庫化された一冊である。話の筋は一応わかるが、私小説めいた独白スタイルはどうにも興味がわかなかった。男女関係の機微を理解できないせいもあるのだろう。直木賞を取るほどの客観的価値があるにしても、読者がこうだとこのザマだ。本に捨てられた感じだ。

 ただ面白く目をつけたのは、言葉遣い、語彙のこと。時代なのか、作者の個性なのか。この頃あまり使わない語に遇った。「うそさむい」…うすら寒いと同じようだ。「感触的」…感覚的はよく使うが、目にしたことがない。「居ずまい」…これは、座った姿勢を表す意味。「居ずまいを正す」機会が減ったことの証左か。


2017読了81
 『びっくりどうぶつ フレンドシップ』(ジェニファー・ホランド 畑正憲・訳 飛鳥新社)

 イベントでの当選プレゼントでいただいた一冊。思いもかけない動物同士が仲良くしている写真とお話で構成されている。「アフリカゾウとヒツジ」に始まり「ヒョウと牛」「ヘビとハムスター」など、驚きの親密な関係が47編並んでいる。どれも実話の構成である。写真は興味深く見られたが、やはり飽きてしまった。

 訳者のあとがきは興味深く読んだ。弱肉強食の自然界で「あり得べからざること」が起きていることについて、畑さんが語った深遠な言葉が頭を離れない。曰く「動物学的な解説があれやこれやとつくかもしれない。でも、それらの解説は、真実を語っているようで、むしろ真実の豊かさから遠ざかっている気がする