知的資産経営を専門として、中小企業支援を行っていますが、知的資産経営は、すぐに効果がでるものではないので、正直、果たして、自分の支援方法が正しいのか?と不安に思ってしまうことがあります。
支援者たる自分が不安に思ってしまうことは良くないことですが、社長にとってものすごく大事な会社を預かっているわけですが、生半可な気持ちでは、支援をすることはできない、その裏返しとして、果たして、この支援方法で良いのだろうかと、常に問い続けているのだと思います。
もちろん、知的資産経営の専門家として、自信をもって支援は行っていますが、自分の力を過信することなく、もっともっと自分自身を高めていく必要があると思っています。
周りを見れば、素晴らしい支援者の先輩ばかりです。
その方々を見ると、もっともっと努力をしなければと考えさせられてしまいます。
最近は、目の前の仕事に追われることが多くなってしまいましたので、インプットの時間も確保し、知的資産経営の専門家としての能力を高めていきたいと思います。
先月末、私が副理事長をつとめるNPOが主催者となって、知的資産経営セミナーを開催したところ、100名近くのみなさまにお集まりいただきました。
今月末には、東京商工会議所でも、知的資産経営セミナーが開催され、さらには、来月は、日立商工会議所で知的資産経営セミナーを開催する予定になっております。
また、現在進行形として、つくば市・つくば研究支援センターによる、知的資産経営報告書作成セミナー、モデル企業支援事業が進んでおります。
このように、ようやく、関東地方においても、知的資産経営が普及しつつあります。
しかしながら、知的資産経営報告書を作成しましょう、のレベルにとどまっていることが多く、それを実践し、その成果を検証するレベルまでいっているところは、まだまだ少ないのが現状です。
やはり、知的資産経営を行った結果、経営者や従業員が望む方向へ会社が進んだこと、これによって、はじめて、知的資産経営をやって良かったと言えるのではないでしょうか?
ただ、他の支援方法とは違い、時間がかかります。
そのため、各企業と、じっくり腰を据えて、企業活動の本質を考えながら、知的資産経営の成果がでるまで責任を持って取り組んでいこうと思っています。
知的資産経営報告書の作成支援中の企業から、うれしい報告がありました。
入社希望者が、その親を説得するために、作成途中の知的資産経営報告書を見せたところ、入社にOKを出したとのことです。
支援先企業は、中小企業ですので、入社希望者の親は、企業へ対する不安があったそうで、もっと大手の方が良いのでは?という話になったそうです。
しかしながら、知的資産経営報告書(作成途中で、未完成ですが…)を見て、社長の考え方等に賛同したんだと思います。
まさに、知的資産経営報告書が、リクルートに活用できた、生きた事例でした。
元々は、社長が、現従業員とのベクトル合わせを目的に作成を始めたのですが、思わぬところで効果がでて、非常に喜んでいました。
そして、何より、このすばらいい企業を選んだ学生も素晴らしいです。
中小企業が行っている、今年度の中小企業支援事業である、「ミラサポ」~未来の企業★応援サイト~ですが、専門家派遣等を行うための相談窓口「地域プラットホーム」が出そろいました。
「地域プラットホーム」は、様々な支援機関(都道府県中小企業支援機関、商工会議所、商工課、金融機関等)がまとまってひとつになったものです。
支援機関がバラバラに支援してるより、同じ目的のためにはまとまっていくのが良いと思いますので、支援機関も競争と協調の時代になったと思います。
Webサイトを通じた内容ですので、企業が利用するには、企業情報等を登録しなければならず、その点は若干面倒だとは思いますが、本当にやる気のある企業であれば、そんなには苦にならなと思います。
支援者側におんぶにだっこではなく、支援される側も一定の負担(受益者負担)をし、両方が真剣に取り組んでいくことが求められるとも思います。
公的支援だから・・・、というのではなく、やるからにはとことんやる、この姿勢を両方が持つことが大事ではないでしょうか。
現在、つくば市・つくば研究支援センターで行っている「知的資産経営報告書作成支援モデル事業」においても、今までにないレベルを目指し、まさにモデルとなるべく、取り組んでおります。
知的資産経営については、「ミラサポ」でも支援可能ですので、「ミラサポ」においても知的資産経営をしってもらうべく、活動を進めていきたいと思います。
先日、ある企業を訪問した際、松下さんの「好景気も良いが、不況こそもっと良い」という言葉を毎朝見て、自分自身に誓っているとのことでした。
「皮肉な話だが、不況になってはじめて、真剣に、自社のことを見つめなおすことに取り組みました。」とのことです。
国の景気判断では、景気が上向いているようですが、地方の中小企業に、その実感はありません。だからかもしれませんが、「今、どんな業界がいいんですか?」「今、いい会社は何をしているんでしょうか?」という質問をよくされます。
それに対する答えは、次のとおりです。
「いい会社は、当たり前のことを当たり前に実践しています。他社が驚くような、奇をてらうことは一切やっていません。ただ、それだけです。」
自社の強みは何なのか、さらに、それらはどのように生み出されているのか、それを明らかに、まじめに、こつこつ、その繰り返しを行ってきて、5年たって花開いた、という企業も数多くあります。
自社の経営理念を明確にし、行動基準はその経営理念に基づき、当たり前のことを当たり前に、これこそが、企業が継続していく道です。