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野村HD、1-3月の純利益は7割減-ホールセール部門が赤字に 2023年4月26日 15:03 JST 更新日時 2023年4月26日 18:08 JST

2023-04-27 05:41:45 | 日記

野村HD、1-3月の純利益は7割減-ホールセール部門が赤字に
佐野七緒、中道敬
2023年4月26日 15:03 JST 更新日時 2023年4月26日 18:08 JST

エクイティー調達やM&Aが世界的に減速、円安でコスト負担も増加
200億円の自社株買いや配当性向40%以上とする株主還元策も発表

野村ホールディングス(HD)が26日発表した2023年1-3月期(第4四半期)の連結純利益は前年同期比76%減の74億円だった。ホールセール部門の損益が赤字となり、事前の市場予想を大きく下回る結果となった。一方、200億円を上限とした自社株買いの実施や配当性向を40%以上とするなどの株主還元策も発表した。

  ブルームバーグが集計したアナリスト4人の純利益の予想平均値は385億円だった。

第4四半期の部門別の税前損益は、法人営業などのホールセール部門が142億円の赤字(前年同期は370億円の黒字)と2四半期連続の損失となった。国内リテールを担う営業部門は前年同期比89%増の98億円、運用・投資関連を管轄するインベストメント・マネジメント部門は164億円の黒字(同88億円の赤字)だった。

  ホールセール部門の内訳では、金融商品の販売などを手掛けるグローバル・マーケッツの収益が前年同期比5.6%減の1493億円、資金調達やアドバイザリー業務などを行うインベストメント・バンキングは同20%減の296億円だった。インベストメント・バンキングでは、案件の延期などで米欧中心にアドバイザリー収益が減少した。
全く満足せずとCFO

同日会見した北村巧財務統括責任者(CFO)は、第4四半期は特にホールセール部門が苦戦したと述べた。経費率は第3四半期の101%から108%に上昇。コストは年間で1140億円増えており、そのうち、急速な円安進行による影響が約930億円だと説明した。世界的なインフレへの対応も行った結果だとして、「かなりコストコントロールはされていると考えている」と述べた。

  一方、「残念ながら収益が伸びてこなかった」と指摘。企業などによるエクイティー調達やM&A(企業の合併・買収)が世界的に減速し、インベストメント・バンキングとしては非常に厳しい環境だったとして、通期業績については「全く満足していない」と語った。

格付け会社ムーディーズ・ジャパンの鈴木智哉VPシニア・アナリストはクレジットの観点から「収益性の大幅な悪化はネガティブだ」と指摘。急激な金利上昇や地政学的緊張に加え、米国の地銀破綻が投資家心理を冷え込ませ、その結果として減益となったとみる。野村HDの格付けについて、国内リテール部門における収益性に対する構造的な課題を反映し、見通しはネガティブとしている。
第4四半期の主な収益(増減は前年同期との比較)

収益合計は90%増の7707億円
委託・投信募集手数料は15%減の638億円
投資銀行業務手数料は18%減の280億円
アセットマネジメント業務手数料は2.2%減の674億円
トレーディング利益は0.5%減の1183億円

23年3月期通期ベースの純利益は前の期比35%減の928億円となり、アナリスト6人の予想の平均値1749億円を下回った。期末配当は1株当たり12円(前の期は同14円)とし、年間配当は同17円(同22円)となる。

同時に発行済み株式総数の1.1%、200億円を上限とする自社株買いの実施も発表した。また、今期(24年3月期)以降、半期ごとの連結配当性向40%以上を重要な指標の1つとする。従来は30%以上だった。総還元性向はこれまでと同様50%以上とする。

  北村氏は、4月も不透明な市場環境が続いているとしたものの、「リソースを最適配置する体制整備はほぼ完了している」と説明。包括的提携を結んだ地銀とは当初想定を上回るシナジーが確認できているといい、「ここから新たに強化された体制、アライアンスなどの取り組みを通じて、顧客との対話機会をさらに増やし、収益機会の最大化に努める」と語った。

  野村HDは、経営危機に伴って無価値となったクレディ・スイス・グループの永久劣後債(AT1債)を個人顧客に販売していなかった。北村氏は、スイス特有の全損条項があったことなどから、一般的なAT1債と比べて「相対的にリスクが高い商品になる」と指摘。各国の規制や個別の顧客の適合性などを精査した結果、個人向けに販売しないことを判断したという。法人顧客に対しては販売額はゼロではないとも述べた。




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(会見の内容やアナリストコメントを追加するなどして記事を更新します)

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