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9月FOMCのMinutes-Better alignment 10/10(木) 8:01配信 NRI研究員の時事解説

2024-10-10 08:51:10 | 日記
9月FOMCのMinutes-Better alignment

10/10(木) 8:01配信
NRI研究員の時事解説
はじめに



50bpの利下げを決定した9月のFOMCでは、労働市場が堅調さを維持しつつ、インフレ目標への収斂に確信が共有された。もっとも、25bpの利下げを支持する考えも相応に示された。
物価情勢の評価

FOMCメンバーは、インフレ率が依然として高い点を確認しつつ、殆ど全員(almost all)のメンバーが足元の指標はインフレ目標への収斂と整合的と評価した。

内容面では、数名(some)のメンバーが、インフレ減速にはエネルギーと食品の寄与が大きいが、広範な財やサービスのインフレが減速していると指摘し、コア財と住居を除くコアサービスの減速を強調した。また、多く(many)のメンバーは、インフレ減速が、価格設定力の低下を示唆する企業からの情報と整合的としたほか、第1四半期のインフレ上昇が一時的との見方を示した。

今後については、殆ど全員(almost all)のメンバーが、2%インフレに向けた持続的な動きに自信を深め、理由として、実質GDP成長率の軟化、インフレ期待の安定、価格設定力の低下、生産性の向上、国際商品価格の軟化等を挙げた。

また、数名(several)のメンバーが賃金上昇の減速を指摘し、景気敏感なセクターや転職者の動向に言及したほか、2名(a couple of)のメンバーは、賃金上昇の減速がサービスのインフレ減速に貢献していると指摘した。さらに、数名(several)のメンバーは、労働需給が概ね均衡しているため、近い将来に賃金上昇がインフレ圧力となる可能性は低いとの見方を示した。
経済情勢の評価

FOMCメンバーは、雇用増ペースの減速、失業率の上昇、未充足求人の減少、離職率の低下等に言及し、労働市場の状況がコロナ前よりタイトでないと評価した。

もっとも、労働市場は引続き強く、企業はlayoffでなく労働時間の抑制等で対応していると指摘した。また、多く(many)のメンバーが移民の増加や雇用統計の改訂、生産性の上昇等のため状況が把握しがたい点を挙げ、ミクロデータや企業からの情報を活用すべきとした。

今後については、インフレ目標の達成に労働市場の更なる減速は不要とした上で、SEPも労働市場の強さが維持されるとの見方を示唆している点に言及した。この間、数名(some)のメンバーは、労働市場の一層の悪化のリスクを指摘した。

一方、経済活動は力強く推移し、個人消費が底堅いと評価した。個人消費については、2名(a couple of)のメンバーが実質購買力の上昇を指摘した一方、数名(some)のメンバーはカードローンや自動車ローンの延滞率上昇など金融ストレスの上昇を指摘した。

企業に関しては、多様な(various)のメンバーが、先行きは楽観的ながら雇用や投資に慎重と指摘した。また、生産性の向上や新技術の活用など供給面の改善を指摘する向きがあった。これらを踏まえ、多く(many)のメンバーは、今後数年の実質GDP成長率はトレンド(筆者注:潜在視聴率を意味するとみられる)の近傍で推移するとの見方を示した。



リスクの評価

ほとんど全員(almost all)のメンバーは、インフレの上方リスクが減少し、雇用の下方リスクが上昇したと評価し、dual-mandateの達成に向けたリスクは概ねバランスしたとの見方を示した。

この間、2名(a couple of)のメンバーは労働市場の顕著な悪化のリスクはないとした一方、数名(several)のメンバーは個人消費の想定以上の減速の可能性を指摘した。その上で、FOMCメンバーは、インフレの上方リスクは最後の利上げ以降に顕著に低下したとし、大多数(a vast majority)のメンバーはインフレリスクが概ねバランスしたと評価した。
金融政策の運営

これらの議論を踏まえて、大多数(substantial majority)のメンバーが50bpの利下げを支持した。

これらのメンバーは、政策スタンスの再調整(recalibration)によって、インフレや労働市場の足元の動向によりよく適応する(better alignment)との考えを示した。加えて、利下げが経済と労働市場の力強さを支持し、リスクバランスをより反映するとした。

もっとも、数名(some)のメンバーは、前回(7月)会合で25bpの利下げの可能性があった点を指摘し、その後のデータはインフレ目標への収斂を示したと指摘した。一方、数名(some)のメンバーは、インフレ率がなお高く、経済成長が強く、失業が低位であるだけに、今回(9月)も25bpの利下げがありうると指摘し、他の数名(few others)もそうした提案を支持した可能性を指摘した。

さらに、数名(several)のメンバーは、25bpの利下げはFRBに金融引締めの度合いを評価する時間をもたらすとの考えを示したほか、数名(a few)のメンバーは、25bpの利上げの方が今後の予見可能性は高まるとした。これに対し、数名(a few)のメンバーは、毎回の利下げ幅でなく全体の利下げ経路の方が、金融引締めの度合いの評価には重要と指摘した。

今後についてFOMCメンバーは、時間をかけてより中立的なスタンスへ移行することが適当との考えを確認した。その上で、今回の利下げが、景気の悪化を反映したものと理解されたり、FOMCメンバーにとって適切なペースを超える利下げと理解されたりしないようにすることが重要と強調した。

また、利下げ後も金融は引締め的であるが、その程度に関する評価に幅があるとした上で、今後の政策決定は経済動向やその見通し、リスクバランスに依存することを説明する点の重要さを確認した。

最後にリスクマネジメントの観点では、数名(some)のメンバーが、金融引締めの解除が遅延したり過小であった場合は、経済と雇用を悪化させるリスクがあると指摘したほか、数名(a few)のメンバーはそうしたリスクが顕在化した場合の評価の困難さも指摘した。

これに対し、数名(several)のメンバーは、金融引締めの解除が早すぎたり過大であった場合は、インフレの減速を阻害したり、再燃させたりするリスクがあると指摘した。また、数名(some)のメンバーは中立金利の水準が不確実である点が金融引締めの評価を困難化しており、緩やかな利下げが適切と指摘した。


井上哲也(野村総合研究所 金融デジタルビジネスリサーチ部 チーフシニア研究員)
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この記事は、NRIウェブサイトの【井上哲也のReview on Central Banking】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。

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