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日銀の金融政策運営、コロナ再拡大で視界不良−緩和長期化へ対応模索 2021/01/19 11:14Bloomberg

2021-01-19 17:13:40 | 日記
日銀の金融政策運営、コロナ再拡大で視界不良−緩和長期化へ対応模索
2021/01/19 11:14Bloomberg

日銀の金融政策運営、コロナ再拡大で視界不良−緩和長期化へ対応模索
(Bloomberg)



日本銀行の2021年の金融政策運営は、新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う視界不良の中、金融緩和のさらなる長期化への対応をまずは模索することになる。

  政府が今年に入り、日本経済の約6割を占める計11都府県に緊急事態宣言を再発令したことを受け、1−3月期の日本経済はマイナス成長に落ち込む可能性が高まっている。経済活動の低迷は物価の下押し圧力として働いており、日銀が掲げる2%の物価安定目標の実現は23年4月の黒田東彦総裁の任期満了までを展望しても難しい情勢だ。

  ソニーフィナンシャルホールディングスの菅野雅明チーフエコノミストは、「年央にはワクチンが利用できるようになり、コロナの状況が落ち着くとみている。その時に何ができるかが、日銀の本当の試練となる」と指摘。ポストコロナの金融政策運営にも市場の注目が集まりそうだ。

  日銀は20、21日に今年最初の金融政策決定会合を開催する。先月の会合で表明した金融緩和策の点検公表を3月に控え、今会合での政策変更は見込まれていない。

緊急事態宣言

  ブルームバーグの調査によると、政府による緊急事態宣言の再発令を受けて、エコノミストは1−3月期の経済成長率が前期比年率で2.5%程度のマイナスに落ち込むと予想する。宣言後も感染者数は高水準で推移しており、計画通り2月7日に解除できるか懐疑的な見方も多い。期限が延長されたり、サービス消費以外にも影響が拡大したりすれば、経済活動の一段の停滞は避けられない。

  日銀が政府や金融機関とも連携して、昨年春から実施している企業の資金繰り支援策や金融市場の安定化策は、厳しい経済状況下でも緩和的な金融環境の確保などに効果を挙げている。日銀は必要があればコロナ対応策の拡充を中心にさらなる措置も辞さない構えだが、コロナの帰すう次第の難しいかじ取りが当面は続く。

政策点検

  コロナの影響も加わって2%物価目標の実現が容易ではない状況を踏まえ、日銀は今年、金融システムや金融市場に過度なストレスをかけない緩和策を続けていく仕組みづくりに取り組む。昨年12月の金融政策決定会合で、「より効果的で持続的な金融緩和」の実施に向けた点検を行い、3月会合をめどに公表すると表明した。

  黒田総裁は記者会見で、長短金利操作(イールドカーブコントロール、YCC)の運営や上場投資信託(ETF)などの資産買い入れの方法が対象となると明らかにしている。

  昨年5月まで日銀で企画局担当の理事を務めた前田栄治ちばぎん総合研究所社長は先週のインタビューで、点検を受けた政策見直しについて、ETF買い入れの一層の弾力化、イールドカーブのスティープ(傾斜)化、付利制度の見直しなどが対象になると指摘。ETF買い入れは、株価の「水準やトレンドなども含めてより総合的に判断しながら、買い入れ額や頻度を考えていくことになろう」と語った。

物価動向

  消費者物価(除く生鮮食品)は昨年11月に前年比0.9%下落とマイナス幅が約10年ぶりの水準に拡大した。昨年10月の消費税率引き上げの影響の一巡や、「Go To トラベル」キャンペーンに伴う宿泊料の値下げなどの制度的要因の影響が大きいとはいえ、物価上昇に向けた機運は高まっていない。

  日銀が重視する日本経済の潜在的な供給力と実際の需要の差である需給ギャップは、昨年4ー6月から2期連続でリーマンショック以来のマイナス。黒田総裁は12月の講演で、日本経済が「デフレに戻ることはない」と断言したが、足元の物価の弱さが賃金などの抑制要因として働くことへの懸念から、企業や家計のインフレ期待への影響を警戒する声が日銀内にもある。

ポストコロナ

  欧米などでワクチン接種が始まり、コロナ収束への期待感も強い。黒田総裁は講演でコロナショック後の日本経済の成長力の強化には、デジタル化の推進といった成長投資の継続に加え、環境問題への対応も「新しい社会における競争力向上につながる」との認識を示した。

  ポストコロナの金融政策運営は、緩和効果を高めるためにも日本経済の成長力強化に働き掛ける取り組みが求められそうだ。大規模な資金繰り支援策や積極的なETF買い入れなどで日銀のバランスシートは700兆円規模に膨張し、市場での存在感が一段と高まっている。将来的な感染症の影響の落ち着きとともに、コロナ対応策をスムーズに手じまいできるかも金融緩和の持続性の確保に重要となる。

為替

  年明けにドル・円相場が一時1ドル=102円台と約10カ月ぶりの円高水準となったのを受け、財務省と金融庁、日銀は7日、国際金融資本市場に関する情報交換会合を開いた。日経平均株価がバブル経済崩壊後の最高値圏で推移する中での会合は、日本の当局の為替に対する警戒感を印象付けるものだ。

  コロナのワクチンや米バイデン政権への期待感などから、現時点で市場心理は良好な状態が続いている。ただ、世界的な感染症の動向次第では、割高との見方も台頭する株式市場を中心に、急速にリスク回避に傾く可能性も否定できない。

  ブルームバーグが7−13日に実施したエコノミスト調査では、1ドル=95円を上回る円高で日銀はマイナス金利の深掘りに踏み切るとの見方が多かった。ソニーFHの菅野氏は、日銀に追加緩和を迫るものがあるとすれば為替だと指摘し、円相場が「100円を超えていくと状況が大きく変わってくる」との見方を示す。

©2021 Bloomberg L.P.

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