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FRBドル供給、邦銀利用突出 24兆円で世界の半分 経済 金融機関 2020/6/9 23:00日本経済新聞 電子版

2020-06-10 05:03:49 | 日記
FRBドル供給、邦銀利用突出 24兆円で世界の半分
経済 金融機関
2020/6/9 23:00日本経済新聞 電子版

米連邦準備理事会(FRB)が新型コロナウイルス対応で3月に拡充した各国の中央銀行経由のドル資金供給策で、邦銀の利用が突出している。日銀の調達額は4日時点で2221億ドル(約24兆円)と世界全体の半分を占める。コロナ禍で高まったドル不足の懸念は中銀の連携による大量供給で落ち着いたが、邦銀の海外事業の調達不安も改めて浮き彫りになった。


ニューヨーク連銀によると、世界の中銀に対するドル資金の供給額は4日時点で4469億ドル。先進国・地域のほか新興国ではシンガポールなども利用する。調達額を比べると、首位の日銀は2位の欧州中央銀行(ECB、1449億ドル)を5割も上回る。続く英イングランド銀行(BOE、231億ドル)などとは桁違いの額だ。

FRBから各中銀にドルを融通する仕組みは、米欧で新型コロナの感染が広がり、金融市場でドル資金の調達不安が高まった3月以降に大幅に拡充された。日欧など主要国・地域の中銀には期間3カ月と以前より長いドル資金を供給。1週間物は頻度を週1回から毎日に増やした。

日銀は9日、期間3カ月のドル資金を供給するオペ(公開市場操作)を実施した。3月に初めて供給した3カ月物のドル資金が償還を迎えるため注目された落札額は約160億ドルと3月の初回の半分強だった。大和総研の中村文香氏は「一時期よりドル需要は落ち着いてはいるが、なお調達の懸念は根強い」とみる。


各中銀はFRBから調達したドルを民間の金融機関に貸し出している。日銀が目立つのは「邦銀のニーズが他国の銀行よりも際立って強いことを示す」(東短リサーチの加藤出氏)。

国際決済銀行(BIS)のデータをもとに大和総研が集計したところ、邦銀の海外向け融資や有価証券投資を示す国際与信残高は2019年末時点で4.6兆ドルだった。2位の英国のおよそ1.3倍の規模だ。

08年のリーマン危機時のFRBによるドル供給では過半がECB向けで日銀は2割ほどだった。その構図が大きく塗り替わっている。邦銀は財務が傷んだ欧州の銀行が軒並み事業を縮小した穴を埋めるように世界で投融資を拡大してきた。国内で稼げなくなったため海外市場に活路を求めた結果でもある。

「正直、日銀のドル供給がなかったらどうなっていたかわからない」。東海地方の地方銀行関係者は胸をなで下ろす。地銀はメガバンク主導のドル建て協調融資に加わったり、外国債券への投資を増やしたりしてきた。ドルの調達に支障をきたせば、新たな収益源となっていた海外投融資の大幅な縮小を迫られる可能性もあった。

FRBがドルを大量供給するのは、海外勢がドルを確保するために米国債を投げ売りすれば金利の上昇を招き、経済の重荷となる懸念があるためだ。あくまで市場の混乱を回避する一時的な措置であり、邦銀のドル調達の不安が一掃されたわけではない。

金融庁幹部は「邦銀の需要が突出している点が米国で政治問題になる懸念がある」と話す。足元では米金融市場も落ち着きを取り戻しつつあり、ドル供給が縮小される可能性もある。邦銀が日銀経由で手にした2200億ドルを超える資金について代替の調達先を見つけるのは簡単ではない。

ドイツ証券の小山賢太郎氏は「有事のドル調達を中銀にこれほど依存する邦銀の脆弱性が浮き彫りになった」とみる。新型コロナ対応は長期戦になる。日銀の超低金利政策も出口は遠く、邦銀は海外に活路を求めざるを得ない状況は当面続く。ドルの安定調達という長年の課題は相変わらず残る。

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