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故横山光輝さんの漫画で学ぶ宝暦一揆 深いメッセージ「過去は変えられないが未来は変えられる」 5/24(金) 15:33配信 西日本新聞

2024-05-26 06:40:21 | 日記
故横山光輝さんの漫画で学ぶ宝暦一揆 深いメッセージ「過去は変えられないが未来は変えられる」

5/24(金) 15:33配信
西日本新聞
【朝刊太郎の雑記帳】

福岡県久留米市に残る宝暦一揆で処刑された犠牲者の墓。斬首された宝暦4年10月27日の日付が刻まれている

 テレビ番組になった「鉄人28号」や「魔法使いサリー」「仮面の忍者 赤影」が子どもたちの心をわしづかみにして人気漫画家の座を不動にした故横山光輝さんは、その後も「三国志」や「徳川家康」などの歴史もので大人にもファンを広げた巨匠だった。

 月刊少年マガジンに連載した「時の行者」は得意のSFと歴史劇をミックスして今も単行本が版を重ねるが、1979年5月号の最終回「宝暦の百姓一揆の巻」では、1754年に久留米藩で起きた宝暦一揆を取り上げている。

 福岡県の筑後平野といえば豊かな実りの地のイメージがある。けれども江戸時代は、凶作に見舞われて悪政が重なれば農民反乱につながった。中でも宝暦一揆では、久留米藩が財政赤字を補うため、8歳以上の男女から新たな税を取り立てようとしたことに農民たちの怒りが爆発した。

 鎮圧に向かった武士との間で凄惨(せいさん)な殺し合いになり、藩側と見なされた庄屋や商家は打ち壊しに遭った。慌てた藩は新税の撤回を布告して事態を収拾するが、すぐさま一揆のリーダー格を捕らえて処刑した。一揆の規模には諸説あるが、「時の行者」では参加者を10万人超とし、25人が処刑されたとする。

 「時の行者」は、未来人の少年少女2人がタイムマシンで過去を訪れ、光線銃や護身用のバリアー装置、そして歴史の知識を駆使して冒険する物語だ。2人が生きる未来でも戦乱は絶えず、そんな人間の争いの業を何とか断ち切れないものかと考える。

 そこで久留米藩で起こる一揆を未然に食い止めて歴史の流れを変えようと試みるが、不思議な機械を使う2人は武士と農民の双方から怪しまれて仲裁は失敗するのである。

 この宝暦一揆。地元でも、よく知る人は社会科教師や郷土史家に限られるのではなかろうか。横山さんは、戦後になって書かれるようになった民衆視点の歴史本に刺激されたようだが、一揆に立ち上がるしかなかった農民の思いを分かりやすく説明している。この頃、歴史学の学生だった私は横山さんの発想の力に改めて感心したものだった。

 ラストの場面にも深い味があった。一揆の結末に落胆した少女をいたわる少年にこんなことを言わせている。「僕たちの力だけで過去を変えることは不可能なんだよ。でも未来を変えることはできる。今まで見てきたこと、学んだことを参考に、住みよい世界をつくり出すことはできる。僕たちの努力次第なんだよ」

 きっと横山さん自身の若い読者へのメッセージだった。

 横山さんは2004年4月15日、東京の自宅火災で全身やけどを負い死去。69歳。ベッドで吸ったたばこの火の不始末が原因ではと報じられた。

 (上別府 保慶)

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