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【コラム】スタグフレーションの風も呼ぶ中東情勢の緊迫-エラリアン コラムニスト:Mohamed El-Erian2024年4月15日 15:32 JST

2024-04-19 06:03:12 | 日記
【コラム】スタグフレーションの風も呼ぶ中東情勢の緊迫-エラリアン
コラムニスト:Mohamed El-Erian2024年4月15日 15:32 JST
  • 人道的悲劇を経験後、重要な一線を越えてしまったと多くの人が認識
  • 中東情勢は多くの関係国を巻き込む危険なほど不安定な状況に移行
イランとイスラエルとの長年の緊張関係が今月に入り著しくエスカレートしたことは周知の事実だ。いずれも自国の領土が攻撃され、直接的な報復が正当化されると主張している。他の諸国は冷静さを保つよう呼び掛けるが、さらなる事態のエスカレートをイランとイスラエルを警告する。
  次に何が起きるかにかかわらず、特に過去6カ月でとてつもない人道的悲劇を経験した不安定な地域において、重要な一線を越えてしまったと多くの人が感じている。中東情勢の不安定さが比較的抑えられていたという見方もあったが、多くの関係国を巻き込む危険なほど不安定な状況に今や移行した。
  15日の取引再開に伴い、トレーダーや投資家が地政学的リスクの高まりに反応し、資産市場の至る所に影響が波及する可能性がある。財政・金融政策といったリスク緩和手段が既にぎりぎりまで活用され、米国のインフレの粘着性が示される現状では、グローバル経済にスタグフレーション(景気停滞下のインフレ)の風が吹く脅威の高まりを彼らは考慮せざるを得ない。
  先週末に事態がさらに悪い方向にエスカレートしてもおかしくなかったという見解はさておき、15日の市場再開後に金と原油の価格が上昇し、株価と国債利回りが下げても驚きではなかろう。その後何が起きるかは、トレーダーや投資家の集合知が、イランとイスラエルが相互にメッセージを送り合ったと判断し、今のところ十分な動きがあったと考えるかどうかにかかっている。
  それは14日の主要7カ国(G7)オンライン首脳会議を含む国際外交の狙いでもあるが、イランとイスラエルの状況判断に左右される。
  世界経済と市場は、今回限りの地政学的なリスクプレミアム上昇には対処できる比較的良好な状態にある。しかし、より著しい形で一層多くの関係国を巻き込み、さらにエスカレートする事態を乗り切れる状況ではない。
  それに伴うエネルギー価格ショックは、ドイツや英国がテクニカルリセッション(景気後退)を抜け出す助けになる製造業の回復を妨げるだろう。米連邦準備制度や多くの人々の予想を上回る頑固な物価上昇が続く米国のインフレ状況は複雑さを増し、中国が必要とする構造改革も一層困難になるだろう。国際金融・経済のフラグメンテーション(断片化)に向かう動きが強まることも予想される。
  イランとイスラエル、中東の他の地域での中・長期的な緊張緩和は、世界経済と市場への悪影響の波及を抑え、さらに重要なことだが、過去半年の悲劇的な数の死傷者と精神的・肉体的損傷を経て、人命と暮らしを守ることにもつながるだろう。しかし、この希望が現実になる保証は現時点で全くない。

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(モハメド・エラリアン氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)
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原題:What Middle East Implies for Economy, Markets: Mohamed El-Erian(抜粋)
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