篠原氏の「骨風」と嵐山氏の「口笛の歌が聞こえる」を続けて読んだのだが、共通する登場人物として、南伸坊氏が出てきた。
調べてみると両氏とも1942年生まれ、嵐山氏が早生まれで学年は一つ上のようだ。
南伸坊氏は1947年生まれで5歳若い。
「口笛の・・・」には文化系豪傑、怪人、鬼才がキラ星のごとくに次から次へと現れる。
唐十郎、安西水丸・・・後忘れた。糸井重里も名前だけ出てきた。
椎名誠は登場しなかった。椎名氏は1944年生まれで2歳若く、嵐山氏よりは3学年後輩。
椎名氏の何かの本の解説を嵐山氏が書いていたが、若い頃に出会うことはなかったようだ。
こういう終戦の少し前に生まれて、70年代安保のあたりで脚光を浴びた文化人が私が社会に出る前位の1990年頃には伝説の人、みたいな感じで扱われていて、当時テレビとか雑誌にも出てこないので自分にとっては何となく謎の人たちであった。自分は漫画とSFしか読まなかったので、あえてこの人たちの著作を買って読もうとは思わなかった。
あの当時、雑誌でコラムを書いたりしてポップカルチャーというか中間雑誌というかのメインストリームはすでに戦後生まれの世代に代替わりしていた(椎名氏はずっと第一線で書き続けていたと思うが、そもそも脚光を浴びてメインストリームに取り上げられるのが遅かったと思う)。
口笛の、は70年安保の騒乱が描かれるが、学生リーダーも嵐山氏の分身の主人公英介も実にいい気なもので、時代の流れに巻かれるがままに遊び半分に暴れ回ってるようで、読んでいて気分は良くない。
機動隊員に石を投げたとか蹴りを入れたとかバリケードの椅子に火をつけようとしたとかの行為を手柄話のように書いてある。
立川で知り合った黒人兵がベトナムで戦死したエピソードだけは少しホロリときた。
骨風は認知症になったお母さんの話がよかった。
逆に若松孝二監督のエピソードには、若松氏は酷いなあ、と思った。なぜなら定職がない篠原氏をギャラなしで映画のプロモーション旅行に連れ出すという思慮の無いことをするから。
北海道の美味しい物を食べて温泉に入れるという余禄がついていて、若い俳優ならそういった活動も名前を売るために意味があるのかもしれないが、俳優でもなく定職のない篠原氏からしたら迷惑なだけではないのだろうか?本人は若松氏が好きだから気にしてないような書き方だったので、こういう受け止め方は本意ではないのだろうけど。
どちらの本も自分には珍しくスラスラと読めた。
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