結構話題の本らしいので読んでみた。
二つほど疑問点があった。
一つは、主人公の母親の父(つまり祖父)が、陸軍士官学校出身だったのでやろうと思えば料理などの家事をこなせる人だった、という設定。
この母親はバブル景気のころに学生時代を過ごした、と言う設定なのでその父親が陸軍士官学校を出ているというのはかなり無理があり違和感をおぼえた。
もう一つは、主人公の父が永年努めている職場で課長にもなれず次長と言うあいまいな職位に甘んじている、と言う設定だが次長というのは通常は部長の下、課長の上の役職なので、やはり違和感がある。
父の職場でのそういう立ち位置をあらわすなら、担当課長とか主査とか主幹等にしておけばいいのではないか。
疑問点はこの二点。
ちょっと調べればわかる事なのだが、たぶん作者は感性の人で、そういう細部の設定にこだわっていないのだろうと思う。そういった事より人の感情の移り変わりとか人間的成長みたいな心理的なところを描きたいのだろう。
それから、ネタバレになるが主人公の恋人が実は奨学金で大学を出ており、500万円の借金を背負っている、という事が分かり主人公の家族がこれを大問題とうけとめて結婚を認めていいのか議論となる。しかし、5000万円ならいざしらず500万円がそれほど問題になる金額なのだろうか?もちろん大きな金額だが自動車を新車で1台ローンで買えば2,300万円はかかるし、共働きならそこまで大きな負担にはならないのではと思うが。
借金の多寡だけでなく、その恋人の家族がかなり無責任な人達で、そういう人達と家族になれるのか、という点も大問題になった原因ではあるが。
あと、出て来る男性キャラが少女漫画っぽい汗の臭いのしない草食系の男ばかりで、いかにも女性が好みそうなキャラでやや白けた。
小説の場合、作家の性別で色合いというか形が分かれるもんだなあ、とあらためて認識した。
この作品はかなり女性的で自分にはあまり向かないタイプの小説だった。
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