那須太社 錦輔 の日記

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誰も寝てはならぬ

2021-08-03 23:07:08 | 読書感想文

微妙に面白い。

デザイン業界のもてる男たちが主人公なので、もてないし芸術的才能もない自分からすると基本的に腹立たしいのだが、上昇志向のかけらもないだらけた男たちでもあるので、そのゆるい生き方が面白かったりもする。

その中で、SS221眠っていたナニカ

このエピソードがちょっと異色で面白かった。

主人公たちは元イケメンなので子供のころから女性からちやほやされてきた、モテた、みたいなエピソードが続くのだが、大学に入って地方出身の学友の実家を訪問する締めのエピソードがよかった。

その学友の実家は農家で、父親が早くに亡くなり、祖父、祖母、母が学友とその兄弟を育ててくれたのである。

で、その家で夜にイケメンの主人公二人が酔って裸踊りをする。

すると、翌日学友の母は、町の美容室に出かけてパーマをかけメイクして戻ってきた。

主人公たちは何も気が付かず、ああ、結婚式にでも出席されるのかなと、思っているのだが、学友はなぜか泣いている。

 

その理由が「親父が死んでから女を捨てて働いとった母ちゃんが、お前らの裸を見て何か眠ってた物が起きたんじゃなあー。ありがとうお前ら」

下手をすると、嫌らしくなるところだが、素朴な画風もあってまったくそういう事がない。

本来であれば男子として、母親のそういう行動に嫌悪感を覚えてもおかしくない学友が、喜んで泣く、というのも良い。

親子の絆が深いからこそ、相手を思いやる気持ちがあればこそ、こういう反応がでるのではないか。

凄くいい話だった。

コメント
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