桑炭会 島根県伝統の炭焼き 

松江市八雲町で伝統的な八名窯を継承し炭焼き、販売をしています。
メインテーマは自然環境保全。

八雲町文化財保護協会発行『かたりべ』への寄稿 Ⅱ

2022年04月14日 09時00分48秒 | 活動報告

 

わたしたちの最初の窯も、一五年ほど経った二〇一二年(平成二四)夏

頃から窯本体と建屋の傷みが話題になることが多くなってきた。出炭量

にも影響が出るので、再築に対し助成事業はないものかなど市役所に

も照会する。 

翌二〇一三年(平成二五)八月には移転再築の話が本格化、「窯の再

建を前提に建築可能なものは先行して造ろう」と移転をすることを九月

末に決定。移転場所は一〇〇メートルほど離れた土地を借りることを前

提に更に協議が進む。

当時の市役所八雲支所長の佐々木さんから、一〇月三日に県社会福

祉協議会が「しまねいきいきファンド事業」説明相談会を行なうとの案内

を受け、副代表の石倉聰さんと出席、助成金の申請を行うことへと進ん

だ。いろいろと苦労の多い申請作業でしたが、共同作業で作成、一一月

二五日松江市の社会福祉協議会に提出、県社協の審査結果を待つこ

とした。

この補助金の事業・活動名は「木竹炭の製炭・販売及び創作・技術伝承

並びに交流事業」であり、活動の幅を拡げることでもある。

 このような経緯の中で、二〇一四年(平成二六)四月一七日付で「夢フ

ァクトリー事業補助金」として百万円の補助決定通知を受けた。予定して

いた事業をかなり縮小することとなったが、一一月頃を目指し事業を進

めることに少なからず喜びを抱いた。

 技能技術を蓄え持つ桑炭会の面々。旧窯の解体、窯土運搬から新窯

構築が六月後半から七月中旬まで行なう。並行して窯の建屋づくり、材

料(梁材)の山出し運搬等々、真夏日が続き陰地のない場所で、普段あ

まり食しないアイスや差し入れのスイカを食し、みんなで頑張る日々が続

く。この二号窯は石倉三男さん(秋奥)に指導いただいた。

 炭小屋(?)の瓦敷きは本職の左官さんに頼み、他の地には無いだろ

う見事な黒瓦葺きの炭小屋が完成した。

 この事業は木炭づくりが基幹だが、創作活動、技術の伝承、交流事業

を組み込まなければならない補助事業であり、それらは後半の作業とし

て取り組んだ。即ち、「桑炭会」の活動拠点であり、創作活動、販売活動、

細やかな研修活動も可能な建物を造るという狙いがあったからである。

 基礎工事は自力、骨格と屋根は本職さんにお願いし、窓や中の建具

設置、内壁、建具立て付け、外壁仕上げ等々は自力で行ない建屋は出

来上がった。

 当然のことながら電気工事は地元の専門の方にお願いし、照明器具

は古いものを調達し完成させることができた。みんながそれぞれ知恵と

工夫、経験を絞り出しての挑戦は見事だった。

 総事業費約百六十万円。助成金百万円、借入金四十万円。夢ファク

トリー支援事業による援助で一年がかりの大事業は完了し、桑炭会の

新たな拠点が出来上がった。それぞれの力をフルに発揮、「桑炭会」の

結束が更に強固になったと自信を持って言える。

 「桑炭会」の主要事業は木炭の生産販売であるが、これから先は少

し間口を拡げての活動を進めていくことになる。     

二〇一八年(平成三〇)一月、代表が石倉聰さんに代わる。

「・・・頂上には元安徳山星上寺と称する古刹があって、出雲順禮十

七番の札所として晩春初夏の候には善男善女の笻(きょう)を曳くも

の絶ゆることがなかった。」と八束郡史にある。常栄寺境内の第一六番

札所から星上寺の一七番札所へ多くの人々が行き交ったであろう地域の

古道にわたしたちの拠点は位置している。この場を「桑並の杜」として永く

残さねばと「桑並の杜周辺美化」を目指し少しずつ手がけている。まだ僅

かな実践でしかないし、見えてくるには数年いや十数年かかるかもしれな

い。次世代に少しでも引き継ぐ努力をみんなでやって行こうとの思いは強

い。

二号窯となる現在窯は間もなく七年が経つ。みんながまだまだ主役の稲

作農業、冬作業で窯が煙を出すのは多くて七~八窯である。山林等の炭

木の巨木化はわたしたち高齢者にとっては(まだ若い者には負けないが)

大変な作業であり、怪我のないことに最大の注意を払いながら作業を行

なっているつもりである。冬空のもと一〇台ほどのトラックが山に向かい

伐採材を積んで集落を往来する姿は勇ましく、自ずと感動さえ覚える作

業日。

現在の年間製炭量は二五〇〇キログラムほどで、かなり頑張っていると

自負している。しかし、いつまでも続けられる数字ではなく、真剣に考え

なければならないときにきている。

 八雲町内にはまだ炭窯がいくつかあるものの、煙が立つのが最近あ

まり見えなくなってきた。

 木炭を利用いただいている方々は、昔から炭炬燵を利用しておりこれ

以上のものは無いとおっしゃる方、焼き肉屋さん、飲食店、火鉢での温

もりなど、そして植物栽培、浄化作用、室内装飾等々で足を運んで下さ

る。みんなわたしたちの炭を利用して下さっていることに感謝するととも

に、これからもこだわりを以て続けていきたい。

わたしたち桑炭会は二〇一四年(平成一四)からブログによって日々の

活動を発信している。写真も多く入れての発信、県内外から多くの読者

にご覧いただいており電話等を承る。また、桑炭会内部の情報共有、連

絡等を行なうため「桑炭会つうしん」として毎月を目標に届けている。

(一月にNO130)

 製品の宣伝もあるが、多くの方々にご理解いただき「伝統の炭焼きを

繋いでいく」という願望があるから・・・。 

本年、わたしたちは結成二十五年を迎えることとなりました。迎えるグル

ープ十四名の平均年齢は八十歳超。コロナ渦が静まれば記念事業を

行ない、更なる「絆」を築いていきたい。

       

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