白雲去来

蜷川正大の日々是口実

憂国忌か・・・。

2023-11-27 17:36:08 | 日記

11月25日(土)曇り。憂国忌

午後一時、大悲会の志村馨、弊社の松本佳展の両君に迎えに来て貰い、埼玉県北足立郡伊奈町という所に「恋さん」という名前の居酒屋を開店した、野村一門の山崎一弘君のお店のお祝いに、一門が集まった。我が家から車で一時間半。ぽつんと一軒屋ならぬ、ぽつんと居酒屋である。お店の中には、野村先生の書などあり、また「恋さん」は、野村先生の奥様がやっていたお店と同じ名前。懐かしかった。四時前から、八時近くまで飲んで解散。松本君の車に乗った瞬間から爆睡。気が付けば自宅の前だった。

野村先生の獄中句集「銀河蒼茫」に、憂国忌風が鞭振る天に地に がある。いわゆる三島、森田両烈士の自決事件、「楯の会義挙」が起きたのは私が十九歳の時だった。この事件に触発されて、政治に興味を持ち、とりあえず三島由紀夫の本を手にした。しかし、それまで基礎的な教養と言うものとは全く無縁だった十九歳の私に読めたものと言えば「潮騒」と「蘭陵王」ぐらいのものだった。私の勉強は、三島文学を読むことから始まったと言っても過言ではない。読書と言うものはマラソンのトレーニングと一緒で、素人がいきなり42・95キロを完走することなどできない。まずはジョギングから始めて、徐々に距離をのばして行く。自決事件の直後の報道で、二・二六事件との関連性について書かれたものがあり、その中で青年将校に思想的な影響を与えた本として、北一輝の「国体論及び純正社会主義」や「国家改造法案」が紹介されていた。

早速、みすず書房から出版されていたその本を購入して、ワクワクしながら頁を開いた時のショックを忘れることが出来ない。その本の一頁どこか一行も読めないのだ。単なるマラソンファンの素人が、気負ってフルマラソンのスタート地点に立ったようなものだ。挫折しそうになったが、その時に、偶然に手にしたのが、小泉信三の「読書論」(岩波文庫)だった。恐らく、その本を読まなかったならば、「読書好き」にはならなかったと思っている。

そして、囹圄の時代、「一人一殺」ならぬ「一日一冊」の読書を心がけて、まず本を読む体力を養うことにした。休日が続く日などは、読みやすい本は、すぐに読了してしまうので、娑婆にいたならば決して手にすることのないような宗教書や左翼関係の本を、少しずつ読むようにした。ともかく「活字に飢える」という経験をしたことが自分の為になった。

 

 

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