白雲去来

蜷川正大の日々是口実

今日の産経抄に『父の詫び状』が引用されていた。

2019-05-06 09:32:13 | 日記
五月五日(日)晴れ。

朝食後にのんびりと新聞を読んでいたら、「産経抄」に偶然にも、今読んでいる向田邦子さんの『父の詫び状』(文春文庫)の中の「子供たちの夜」というエッセイが引用されていた。この偶然が嬉しかった。その『父の詫び状』を野村先生の「幻の娘」さんにプレゼントしたことがあった。もう三十五年ほども前のことである。

私の最寄りの駅のJR保土ヶ谷駅の駅ビルの中には書店があって、うっかり電車の中で読む本を忘れた時など、その書店で読みやすい本を探して、買っている。以前、久しぶりに文庫になった向田邦子さんの『無名仮名人名簿』(文春文庫)を見つけて、懐かしさのあまり、買った。向田さんの本は好きで、単行本になったものや、飛行機事故で亡くなられた後に出版された料理本などほとんど読んでいる。

その後、事務所の書棚から、何冊か持って来て、チビリ、チビリと読んでいるが、皆、ハードカバーなのでカバンやバツクを持たない私としては、電車などの移動の時には大きすぎる。それで文庫になったものを買ったのだが、実に三十五年ぶりの再読となった。その頃、向田さんの本を良く読んでいたのは、馬車道にあった喫茶店「ウィーン」。その時々の人たちのことが、向田さんの本の中に甦る。

向田さんは昭和四年の生まれである。戦前、戦後の庶民の生活を知る上では最高の本である。テレビドラマになった向田さんの原作もほとんど見たが、今では失われつつある昭和の生活が描かれ、懐かしさに押しつぶされそうになる時がある。『無名仮名人名簿』、『父の詫び状』の中に描かれているエッセイの中で、記憶に残っているのは一割程度。だからとても新鮮な気持ちで読め、新しい発見もある。旨い酒と料理と好きな本、これがあれば無敵だ。

昼は、青森から帰宅した愚妻と久しぶりに関内苑にて焼肉の昼食。夜は、菖蒲湯に入った後に、家族で「豚肉のキムチ炒め」、キムチをたっぷり使って「キムチチゲ」の食事。私が知る限りで最高のキムチ。もちろん錦糸町の「223」というお店の物である。「極ゼロ」の小缶ビールを三本と「三岳」のロックを三杯で、眠くなった。

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