SJesterのバックステージ

音楽関連の話題中心の妄言集です。(^^)/
もしよろしければ、ごゆっくりどうぞ。

リスト没後120年特集 (その10 ロ短調ソナタ編7)

2006年12月06日 00時04分58秒 | ピアノ関連
★ラ・カンパネラ ~ ユンディ・リ / リスト・リサイタル
                  (演奏:ユンディ・リ)
1.リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178
2.ラ・カンパネラ (パガニーニの主題による大練習曲 S.566から)
3.献呈 S.566 (シューマン作曲/リスト編曲)
4.愛の夢 第3番 S.541
5.タランテラ (巡礼の年第2年補遺から)
6.リゴレット・パラフレーズ
                  (2002年録音)

クヤシイなぁ。。。
ユンディ・リってこのディスクしか聴いたことがないのですが、これが実に伸びやかで素晴らしい。
同胞(?)アジアからのショパコン優勝者でありそのこと自体は喜ばしい限りなのですが、巷で婦女子に人気がありすぎることが気に食わん!
個人的に確かにキムタクにも似てると思ってしまったから余計に邪念が入る。

「なら、もっとジャケ写の顔色考えてかっこよく撮ってやれよ!どうせ85年のBニンさんみたいなモンだろう。。。 彼も最初のショパン以外のディスクだったドビュッシーはよかったぞ!14曲しかいれなかったショパンのワルツ集では天才だと思ったけど、最近のBeArTonの24の前奏曲とかからは天才の面影ぐらいしか感じられなかった」ってな感じで完全アゲンストの姿勢で聴き臨みましたが、そりゃ今のアルゲリッチやポリーニのように聴き手の心が征服され蹂躙されるような破壊力はないものの、“若々しい”“健やか”“どこまでもしなやかで伸びやか”という重鎮たちにはない想いを抱かせられました。

やっぱり、ショパコン優勝者っていうのは何らかの華があるんでしょうね。
他の曲も本当に“しなやか”“伸びやか”っていう感じで。。。
私の苦手なシューマンの“献呈”にしても、シューマンの曲じゃないみたい。
脱帽です!!! 婦女子のみなさん、どうぞ勝手に騒いでください。

でも、ジェラっちゃうのは止めません!
内ジャケでピアノを弾いている写真が、ブルース・リーかジャッキー・チェンかというカンフーの使い手みたいな雰囲気であるのは微笑ましく好ましい!
どこまでもイヤラシクやっかんでやるのだぁ~!! (^^)/

しかし、この文章を公にすると、ユンディ君ファン、キムタクファン、Bニンさんファン、カンフーファンをすべて敵にまわすコトになるかも知れん。。。
これで後、ヨンさまファンを敵にまわしたら生きていけないかもしれない。。。
サルかに合戦のサル状態じゃぁぁぁ。なんとか挽回を図らねば!

オホン! 
ユンディ・リの天真爛漫な健やかさをもってすれば、きっとツィメルマンのように大成するのは間違いないと思っていますよ!
ツィメルマンもデビュー当初は、熱く詩情豊かではありましたが、ずっとイモっぽかったじゃないですか!それが今ではその良さをスポイルすることなく、あんなにスタイリッシュで私の最も敬愛するピアニストになってるわけですから!!! 
(いかんっ! ツィメルマンファンも敵に回したかも知れん。。。)

ショパコン優勝者の在り方はダン・タイ・ソンのような慎ましいのが望ましいと思います。
(これもダメっぽいなぁ・・・。)

そういえば、優勝者の後輩のブレハッチも独特な上品な繊細さで・・・
「書き方やめぃ!」と私の第六感が叫んでいるので中断いたします。。。

ユンディ・リ君とそのリストの演奏を褒めたこと以外は忘れてください。

★リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調 
                  (演奏:フセイン・セルメット)

1.ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178
2.晩年の小品 9曲
                  (2000年録音 カワイ・コンサートグランドEX使用)

このブログを初めてすぐにラヴェルのディスクを紹介したセルメット。
ヤマハを使ったりここではカワイを使ったりと、ピアノの選択にこだわりを見せておられます。
スタインウェイでないと弾かないとか、ベーゼンやベヒシュタインの専属みたいな方もいらっしゃいますが、技巧的にもシチェルバコフとかと並んで最高のヴィルトゥオーゾである彼が、ピアノの表現力を曲に合わせて使い分けるのは考えてみれば当たり前でしょう。
ロックの世界でもストラト・テレキャス・レスポールと曲によって使い分けるのはよくあることだし。
ただピアノを一回のリサイタルで何台も弾き分けるのは余りピンときませんけれど。。。そこはどうしてもピアノに合ったレパートリーを組む、ということで対処するしかないでしょうけどね。

さて、本題に戻ってカワイのEX(EXって小林幸子さんのCMを思い出してしまった。。。)は、ややくすんだ音色でありながら妖しく底光りする正にこのリストのソナタにピッタリの音色。それを弾き出すピアニストも凄いんでしょうけれども。。。
何よりも凄いのが、音色を無限に使い分けるビミョーにしてゼツミョーなタッチ&ペダルワーク!!
冒頭の下降音階のテーマからハーフペダルの間に“揺らめく音”が007のような妖しい存在感をもっています。
演奏全体も確固たる構成がなされ、細部にも実に緻密な設計が施されているのは一聴すれば明らかです。こんなに微細な独特の図面が引かれた演奏は他にないかもしれません。そのうえ特筆すべきは、あらかじめ全体の構成上演出されているもののほかに、その場のノリ(感興?)で施されていると思われるホンのわずかなアクセントの置き方、音量・音色の変化で実に演奏をイキイキとしたものにしている点です。即興的にさえ思われる瞬間が少なくありません。
一例を挙げれば緩徐部分の後、フーガが続いて盛り上がっていくところのスリリングな進行は彼の演奏ならではのドラマチックな展開です。

ホールトーンを巧みに織り込んだ録音と、彼の演奏、ピアノの特性が見事に同じベクトルにマッチした技能賞もののディスクであり、個人的にもよく楽しむ演奏であります。

★ターマシュ・ヴァーシャーリ・プレイズ・ピアノ
                  (演奏:ターマシュ・ヴァーシャーリ)

1.ショパン:4つのバラード
2.リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178
                  (2003年録音)
ジャケットを見たときに、“年齢不詳だな、こいつ”と思いました。よく見るとやはりオヤジなのですが、若者に見えなくもない。
実は1933年生まれなので70歳のときの録音。

おじいさんじゃないか!!
昔から剣道をやっていた私は、年長者と見るとパブロフの犬のように敬ってしまう。。。

ヴァーシャーリ翁の演奏は基本的に快速テンポ、そしてちょっと前傾姿勢でつんのめった感じで突っ込むところと、溜めるところが絶妙。そのテの音楽用語では“アゴーギグ”っていうヤツだと思いますが、その施し方に老獪な旨味があります。
ペダルの使い方も独特で鍵盤上を掃くようなアルペジオを溶かしてみたり、浮き上がらせてみたり。。。
優しくなったり、べらんめぇになったり、決して人間業を越えていく瞬間はないですけれど、人間が持つ感情を表現する幅はこの世で積み重ねた時間を物語っていると思います。
愛すべき人間性には、オヤジの末席を汚すものとして憧れるものがあります。

そして、演奏には青年のようなさわやかで潔い側面もあります。
イメージ的には昔カミナリ族で鳴らしたオヤジが、少々枯れたとはいえ万感の想いを込めて新緑の山間(やまあい)の一本道をハーレーかBMWのバイクを悠然と駆っているという感じ。かつての仮面ライダーシリーズの“立花藤兵衛のような”といったらいいでしょうか?
どの一瞬一瞬にも新鮮な感覚を宿していて、「やれるだけのことをやって、生きているんだ」という雑草の逞しさみたいなものがあります。
そして、私が最も気に入ったのがその終わり方!
“アバヨ!”ってな感じで、思いを残しつつもこれだけさっぱりと消えていく最後にとてもすがすがしいものを感じました。

私が本郷猛ならきっとこう言います。
「おやっさん、若いねぇ! でも、まだまだこれからだ。頑張っておくれよ!!」

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (hime)
2006-12-06 11:06:14
お久しぶりです。
ようやくPCがほぼ復旧いたしまして、こちらにお邪魔いたしました~~♪

生ユンディ・リはよかったですよ☆
ファンなわりに、リストがあんまり好きじゃないということもあって、このCD持ってないんですよね。
わはは。
私のお薦めは、スカルラッティーの入っているCDですが、こちらもそろそろ聞いてみないとなぁ。
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そっかぁ。。。 (SJester)
2006-12-08 21:54:01
リスト好きじゃないんだ。。。
ロシア物に比べると確かにちょっと理屈っぽいかもですね。
いい曲もあるから、ユンディくんで聴いたらちょっと考えが変わるかも。。。
ロ短調ソナタはちょっとどうかと思うけど。

彼のウィーンのリサイタル盤。海外ネットショップのサイトで試聴しました。それぞれ30秒ほどですが、スカルラッティ真面目ですねぇ。
でも、謝肉祭の出だしスペイン狂詩曲の出だしすごくよかった!

もしかしたら謝肉祭は今まで聴いた中で一番いいかもしれない予感!!

やっぱり天真爛漫な伸びやかさはここでも聴ける。。。
ちぇっくちぇっく・・・
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