鹿児島の自然と食

鹿児島の豊かな自然(風景、植物等)、食べ物、史跡を紹介します。

食の思い出「滋賀の鮒寿司」

2010-08-14 | 食べ物
転勤や旅先で食べた食べ物の思い出を、シリーズで掲載します。

就職して最初の赴任地は滋賀県で、彦根市に住んだ。
彦根は、井伊直弼の彦根城がある、琵琶湖に面した美しい城下町だった。
町の中を芹川という川が流れ、そのほとりにアパートがあり、春は堤防の桜並木がきれいだった。
琵琶湖の北に竹生島という島があり、友達や家族が来ると、彦根城と竹生島によく案内した。

アパートは銀座という繁華街に近く、週末はそこにある小料理屋へ通った。
夫婦でやっている、こぢんまりとした雰囲気のいい店だった。
そこでよく食べたものが、鮒寿司だった。
滋賀県は海のない県なので、淡水魚を保存する方法が発達した。
鮒寿司は、琵琶湖のニゴロブナをご飯に漬け込んで発酵させたなれ寿司で、独特の発酵臭がある。
長い時間をかけて熟成させたフナは、生の魚とは全く異なった深い味わいがする。
最初は、腐ったような匂いが鼻につき抵抗があったが、酒の肴にするうちに、おいしく食べられるようになった。
スライスした鮒寿司をそのままいただくが、最後に吸い物に入れて出してくれた。
鮒寿司の入った吸い物は、少しクセがあるものの、コクのある味だった。

彦根には4年間住んだが、転勤が決まって最後に店に行った日に、ご夫婦から記念の徳利をいただいた。
この徳利は転勤先に持って歩き、これで酒を飲むと、滋賀のこと、ご夫婦のこと、鮒寿司のことを思い出すのだった。


鮒寿司。(http://www.funachika.com/より)

留守をするので、コメント欄閉じています。

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