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肝障害はどこに隠れたのか? (3)

2013年07月27日 |  症例(その他)

 苦手の夏だが更新週1ペースじゃいけないよーな・・・


 脇道にそれる展開も思いつかないので、タイトル(質問)の答えを先に書いておこう。●の影響による肝障害が隠れた先は、アルコール性肝障害(alcoholic liver disease)と非アルコール性肝障害(non-alcoholic liver deisease)だと思われる。用語「肝障害」は場合によっては「肝疾患」の方が一般的かもしれない。


 先ずは前者の解説をgooヘルスケアから、

アルコール性肝障害 http://health.goo.ne.jp/medical/search/10I50100.html

アルコール性肝障害とはどんな病気か
 アルコールの過剰摂取で最初に生じるのはアルコール性脂肪肝です。それでもなお大量飲酒を続けると、約2割の人にアルコール性肝障害が起こります。
 ・・・幸い重症化しない場合でも、長期に大量飲酒を続けるとアルコール性肝線維症(かんせんいしょう)をへて、アルコール性肝硬変(かんこうへん)になることがあります。

  [中略]

症状の現れ方
 アルコール性脂肪肝は日本酒換算で5合程度を5週間続けただけで引き起こされるので、大量飲酒者のほとんどに認められますが、通常は無症状です。3合以上の大量飲酒を続けると、2割の人がやがてアルコール性肝障害を発症し、一部症例では、発熱、黄疸(おうだん)、右上腹部痛、肝臓の圧痛、食欲不振、嘔吐、下痢などの自覚症状を訴えます。


 より分かり易そうな別の解説を「コトバンク」から、

アルコール性肝障害 Alcoholic Liver Disease
http://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E6%80%A7%E8%82%9D%E9%9A%9C%E5%AE%B3
 
[どんな病気か]
 肝臓にとってアルコールは、処理が義務づけられている薬物の1つです。
 このため、アルコールが体内に入ってくると肝臓は、アルコールがゼロになるまで代謝(たいしゃ)し、分解し続けます。
 ところで、アルコールを代謝・分解する際には、さまざまな要因が加わって、栄養素を代謝するときとは異なるはたらきや形の変化が、肝臓を構成する細胞(肝細胞(かんさいぼう)、類洞壁細胞(るいどうへきさいぼう))におこります。
 この変化は一過性のもので、アルコールがゼロになれば正常な状態にもどるのですが、大量のアルコールを飲むほど、長時間、肝臓の細胞の変化が続くことになります。

   [中略]
 その結果、肝臓の細胞の変化が恒常的に続くようになり、ついには、肝細胞の変性・壊死(えし)と、細胞間質細胞(さいぼうかんしつさいぼう)の線維化(せんいか)がおこり、肝臓のはたらきが衰えてきます。
 これがアルコール性肝障害で、おもにアルコール性脂肪肝(せいしぼうかん)、アルコール性肝線維症(せいかんせんいしょう)、アルコール性肝炎、アルコール性肝硬変(せいかんこうへん)の4つの状態があります。


 この場合は、上記引用にいう各種のアルコールの影響と●の影響とは現実に区別することは難しいであろう。以前に記事で「アルコール隠れ蓑説」の話に触れたけど(〔推測〕タバコ、アルコールは隠れ蓑だったのか? (1) 2013/5/10)、この点に関しては出来の良い隠れ蓑ということかもしれない。


 次に後者。仮に●の影響によって肝障害が引き起こされるなら、飲酒の量とは無関係に肝障害が引き起こされるはずだろう。複合要因で病気になった人より、単独の(あるいはそれより少ない)要因で病気になった人(非アルコール性肝障害)を詳しく調べた方が理解が深まるであろう。

 後者については、一般的には次のような展開で解説されていることが多いだろうか。
 
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD、non-alcoholic fatty liver disease。ナッフルド)

非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH、non-alcoholic steatohepatitis。ナッシュ)

肝線維症、肝硬変などへ


 先ずは脂肪肝(脂肪性肝疾患)の解説についてgooヘルスケアから、

脂肪肝 http://health.goo.ne.jp/medical/search/10I50200.html

脂肪肝とはどんな病気か
 肝臓はたくさんの肝細胞の集合体ですが、脂肪滴(しぼうてき)がたまった肝細胞が全体の1割を超えたら脂肪肝と呼ぶのが一般的です。慢性の脂肪肝は肥満や糖尿病、高脂血症などで起こりやすいのですが、従来これ自体は多くの場合無害と考えられてきました。
 しかし、このような変化が一部の人では肝硬変(かんこうへん)への一里塚となっていることが最近明らかになってきました。・・・

原因は何か
 脂肪肝は、原因により栄養性、内分泌性、代謝性、中毒性に分類されます。慢性の脂肪肝は、食欲不振症のように高度の飢餓(きが)状態や、ホルモンの異常、高度の肥満に際して生じます。・・・
 

 ついでに関連する病気に詳しそうな解説を管理者不詳のサイトからだけど、

脂肪肝 fatty liver http://www.nurs.or.jp/~academy/igaku/s5/s5446.htm


 ●の影響で脂肪肝になるとすれば、コルチゾール過剰原因説(過去記事はココ)を前提とすると、内分泌性ということになるだろう。それは、次のような流れであろう。

●の影響→ コルチゾールの過剰→ 高血糖・脂質異常(高脂血症) →脂肪肝


 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の解説については、例えば、「野澤内科」(兵庫県所在)のサイトから、

アルコールを飲まない人の脂肪性肝炎- NASH(ナッシュ)-について
http://www.doc-nozawa.com/mkog-0404.html

 脂肪肝が最近注目されています。
アルコール性の場合は以前から指摘されていましたが、特に、アルコールを飲まない人の脂肪肝から発症する肝炎も NASH(ナッシュ)と呼ばれ、将来、肝硬変・肝癌に発展することがわかってきました。

  [中略]

2. 脂肪肝にアルコール性と非アルコール性があり、非アルコール性脂肪肝の中に、最近肝硬変に進むケース(非アルコール性脂肪性肝炎)があり話題になっているようですが、これについて説明してください。

 この病気は、1980年にアメリカの Mayoクリニックの病理学者 Ludwig が命名しました。
まったくアルコールを飲んでいない人に、アルコール性肝炎と同じ組織像(脂肪沈着、マロリー体、 pericellular fibrosis)を呈する人がいるということで、non alcoholic steatohepatitis : NASH という名前をつけました。
即ち、脂肪肝にもう一つの原因が加わり、炎症を起こしたものです。
脂肪がたまっているだけなら放置しても肝臓に悪影響はありません。 しかし、脂肪肝にもう一つの刺激が加わり、脂肪性肝炎という状態になると、これはさらに肝硬変や肝癌に進むことがあり、現在治療の対象になっています。


 その発症メカニズムついては、病院検索サイト「Caloo」の記事から、

脂肪肝・NASHについて
2010年11月25日
http://caloo.jp/articles/12/

記者:脂肪肝、NASHが起こる原因は何でしょうか?

[深井健一氏(医師。健 内科クリニック院長)]:脂肪肝の背景には、肥満などを原因としたインスリン抵抗性があります。従ってメタボリック症候群が肝臓に表れているとも言えるでしょう。脂肪肝からNASHへ進行するメカニズムとしてツーヒットセオリー(two hit theory)が提唱されています。まず、肥満などを原因として脂肪肝が起こり、そこに酸化ストレス、サイトカインによる細胞傷害などが加わることで NASHへ移行するというものです。


 上記にいうツー・ヒット・セオリーを分かり易く図示した絵については、市立奈良病院のサイトの資料から(「非アルコール性脂肪肝肝炎(NASH)とは」 http://www.nara-jadecom.jp/user/nash1.pdf。pdfファイル)

図1 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)発症のメカニズム
出典)前掲資料。


 出てきましたね、酸化ストレス(これと●の影響とが関連することについては、文末の関連記事からどうぞ)。●の影響が問題なところは、ひとつで第1のヒットも第2のヒットも両方打てるということかもしれない。


 ここまで来ると、シリーズ初回で紹介したバンダジェフスキー博士の講演内容(脂肪肝が頻繁に起こるなど)との関連性が少しみえてくるのではないだろうか。


(つづく)


〔関係記事〕
電離の直接障害と酸化ストレス障害  2012/5/9
酸化ストレス(活性酸素)による生体の障害  2012/5/11


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