動詞 ทอด (トータハーン・オーアーン・ドーデック thɔ̂ɔt)に対応する日本語動詞は、「なげる・なげだす、投げる・投げだす」と思われる。
動詞「なげる・なげだす」から連想されるべき言回しはには、
腕をなげだす、身をなげる、視線をなげる
などがあろう。
(1) 「(食材を)揚げる」という意味がある。
これについてはよく分からないけど、適当にこじつけておくと次のようになるだろう(かなり苦しいけど・・・)。
『タイは、暑い。熱帯の国だ。クーラーもない時代に鍋に油を満たして揚げ物をするのは、かなりの苦痛だ。誰も揚げ鍋には近づきたくないし、近づいても必要最小限の時間としたい。そうすると、鍋に食材を投げ込むのがよさそうだ』というような感じで、昔、揚げ鍋に食材をほうり投げていて、それが転じて「揚げる」になったと。
用例としては、
〈なげる+海老〉(ทอดกุ้ง thɔ̂ɔt kûŋ)で「(海老を)揚げる」。また、
〈魚を揚げる〉( ปลาทอด plaa thɔ̂ɔt)で「揚げた魚」、
〈肉団子を揚げる〉( ลูกชิ้นทอด lûuk chíŋ thɔ̂ɔt)で「揚げ肉団子」。
(2) 腕をなげだす、との言回しがあるように、「(身体などを)伸ばす」という意味がある。
〈なげだす+腕〉(ทอดแขน thɔ̂ɔt khɛ̌ɛn)で「(腕を)伸ばす、投げだす」、
〈なげだす+脚〉(ทอดชา thɔ̂ɔt khǎa)で「(脚を)伸ばす、投げだす」。
(3) 身をなげる、との言回しがあるように、「(物などを)投げる、ほうる」という意味がある。
〈なげる+サイコロ〉(ทอดลูกเต๋า thɔ̂ɔt lûuk tǎw)で「(サイコロを)投げる」
〈なげる+橋〉(ทอดสะพาน thɔ̂ɔt saphaan)で「(橋を)かける」(これは多分、元来つり橋を念頭においたものの転用だろうということで、ここに)。
(4) 視線をなげる、との言回しがあるように、「(物などを)投げかける」という意味がある。
〈なげる+影〉(ทอดเงา thɔ̂ɔt ŋaw)で「(影を)投じる」、
〈なげる+視線〉(ทอดสายตา thɔ̂ɔt sǎai taa)で「(視線を)投げる、投げかける」。
(5) 「(面倒みているものなどを)投げだす」という意味がある。
〈なげる+女性〉(ทอดผู้หญิ้ง thɔ̂ɔt phûu yǐŋ)で「(女性を)見捨てる」。
動詞の意味ばかり並べても備忘録以上の意義がないような気もするので、今後は、言及した動詞を使った例文をあげておこう。
(A) โรงงานได้ทอดตัวยาวเหยียบไปทางทิศตะวันออก
จนริมทางรถไฟ
(B) เขานำเรือมาจอดทอดสมอไว้หน้าหาด ใกล้กระท่อม
ちなみに、สมอ (samɔ̌ɔ)は、「碇」の意味。詳しくは、次回記事にて。