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シャドウハンターズを分析する [辛口]

2006年03月05日 23時59分00秒 | ボードゲーム分析

シャドウハンターズ Shadow Hunters
随所に工夫が見られる、新作国産ゲーム
http://www.gamerepublic.jp/sh/index.html


出所

株式会社ゲームリパブリックというカプコンで専務まで登りつめた岡本吉起さんの会社である。ゲームソフト「GENJI」の会社。デザインはグループSNEからフリーになったゴーストハンターズの池田康隆さん。


概要

キャラクターの正体を隠し、勝利条件を満たす「Bang!」とか「人狼」っぽいゲーム。しかし人狼のように村人はヤラレっぱなしではなく、殴りあいになる。キャラクターには特殊能力があるが 基本的に正体を明かさないと使用できない。


初見

実は国産ゲームには悲しきかな 海外(ドイツ)ゲームより劣って評価される節がある。その先入観は私にもあった・・・。

■まず直接打撃を行うゲームである。
これはややプレイする人を選ぶかもしれない。
しかしインストに注意すればさほど気にならないかも。

■プレイ人数が多いほうがいい
箱にも明記されているが4~8人(5人以上が最適)とあります。私は6人以上いた方がいいと思います。大人数を必要とするゲームはその責任からハードルが上がってしまうと思う。

■コンポーネントの色
慣れれば済むことですが、初回のプレイにはそこそこ影響します。プレイヤーを表す色と、エリアを表す色、カードの色が被るのでやや混乱します。


プレイ後の感想

先に評価を言ってしまうと良くもあり悪くもある。それは結局どんなゲームでもそうである。プレイヤの正体を探る過程は面白い。直接打撃オンリーになってしまうと良いとは言えない。イメージとしては、推理と戦いが半々というバランスになってると思われる。
個人的な好みとしては推理にもっとウェイトをおいて欲しかった。


随所の工夫

■4面体ダイスを使用する。
エリアを移動する時や、攻撃の際には6面体と4面体を1つずつ振る。単に珍しさを狙ったものではなく、特に攻撃の際に意味を成します。攻撃時は6・4面体を1つずつ振り、大きい方から小さい方を引いた差がダメージになります。あまりにも大きいダメージが出ないような工夫です。

■推理のキモ・おばばカード
おばばカードには
「おまえは○○じゃな?ならば××するのじゃ」
的なことが書いてあります。
○○にはキャラクターの属性であるハンター、ニュートラル、シャドウが入ります。××にはダメージを受ける、装備を渡す、ダメージを回復する、などが入ります。

キモは、このカードを引いたプレイヤが誰かに渡し、渡されたプレイヤがカードの記述に従う ということである。つまり渡したプレイヤは、受け取ったプレイヤの属性がある程度(またはほぼ完全に)推理することができる。

■キャラクターの勝利条件と特殊能力
ハンターはシャドウを全滅させることが、シャドウはハンターを全滅させることが(ほとんどの場合)勝利条件になり、ニュートラルはどちらかと言うとハンターに近いが様々な条件が用意されている。

ニュートラルの中には勝利条件が難しいモノもある。よってプレイヤーはその困難な条件を楽しめるかどうか?にこのゲームの面白さがかかってくる。

おばばカードに対し、ウソをついてもよいキャラクタ→「未知なるもの」がいます。これがいる(かもしれない)ことで推理の部分に面白さを増してします。ただしそれ以外の特殊能力が無いので、上記のように困難を楽しめる心構えが必要になる。

全体的にハンターの特殊能力はシャドウのそれに比べて弱い。恐らくニュートラルがハンター側になりやすい為だと思われます。


プレイ上の注意

推理を放棄してしまう or 推理できない状況になると直接打撃に全体が流れる結果になる。直接打撃になると続々と正体を明かし、ただの戦闘ゲームになってしまう。
戦闘のルールとしては運の要素も強く、防御側に不利である。

このゲームの良さは「推理」→「戦闘」へ徐々に移行していく過程 にあると思います。インストでは「推理を楽しむゲームである」ことを添えると良いかもしれない。

※キャラクタの中には推理する気配もなく、攻撃をしていった方が都合が良い場合もある。

随所に見られる工夫から恐らくテストプレイは何度も行ったと思われます。それ故に、初めてプレイする人達への配慮が少し足らない気がします。そこはインストでカバーするしかないでしょう。


インストの注意

■ゲームの概要を理解してもらう
当たり前ですが、どんなゲームなのかは伝えましょう。推理→戦い に以降するゲームなんだよ、と言うだけでも心構えが違います。

■テキスト
国産ゲームによくあることですが・・・もちろん日本語で書いてありますが、細かい所は読んだだけでは分からない。例)「攻撃」であるアクションとそうでないアクション
TVゲーム作ってる会社だけあって(?)公式ページはしっかりしているのでQ&Aは事前に読んでおく必要がある。

■細かいルールが多い
上記のテキストを詳しく説明するのは大変だし、時間も掛かります。最善の解決策はインスト側がルールを把握し、事前に説明することと、聞かれたら説明することを認知することです。っつーかそれも大変です・・・いずれ「インストする」で記事にします。

■キャラクタを詳しく説明する
このゲームは推理がキモです。どんなキャラがいてどんな勝利条件・特殊能力があるのか把握していた方が良いに決まってます。
また属性の枚数内訳も説明しましょう。

■推理の仕方をインストする
ゲーム箱内のヒントブックにも書いてありますが、おばばカードを引けなくても推理することは可能です。麻雀で言う反射を使います。
誰かの属性がある程度分かっている状態で、そのプレイヤの行動をよく観察することで、そのプレイヤが知っている情報も ある程度分かります。


総評

プレイした限りでは「軽めのゲームが好きな人」向けであると私は思う。しかし細かいルールが多く、何度もプレイしていた方が楽しめる作りになっていて、微妙に矛盾は感じる。

1、よく知った友人同士の方が楽しめる要素を持っている。
2、直接打撃や能力差を楽しめる心構えがある方が良げ。

以上のことからプレイヤを選ぶゲームであると言わざるを得ない。しかし2はインストで緩和できる期待もある。インストに力を入れれば、初体験プレイヤにも楽しんでもらえる。
ちなみに私の友人達(ボブんちメンバー)には好評でした→私のインストが良かったわけではなく、もともと1も2もクリアできていたからです。

名古屋EJFさんの いんぷれっしょん
The table game which plays happily