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チェーンストア・パラドックス

2005年10月21日 23時59分00秒 | ゲーム理論
ゲーム理論と実際のボードゲームで大きく違う点があります
ゲーム理論では
プレイヤーは利得(or効用)を最大化するという目的があります。
しかし実際のボードゲーム(戦略ゲーム)では
プレイヤーは勝利条件を満たす目的があると言えます

もっと簡単に言うと、ゲーム理論では自分自身の利益を最大にする
という目的なので、他プレイヤーより利益を上げることを目的にしていません。ボードゲームでは、多くの戦略ゲームの場合、
他プレイヤーより勝利条件に近づく必要があるのです。

ゲーム理論の中でボードゲームに近い(近めの)理論がありました。
それがチェーンストア・パラドックスです。

電機量販店Kは郊外に店を構えています。
Kの堅調に目をつけた電機量販店Yは、Kの近隣に店舗を開店する
ことを検討しています。
KがYの参入に対し取れる戦略は、以下の2つ
■利益を犠牲にし商品価格を下げ、Yと競争する
■Yの参入を黙認し、共存を図る

壱、Yが参入し、Kは競争 → Y:0円 K:0円
弐、Yが参入し、Kは共存 → Y:1000万円 K:1500万円
参、Yが参入しない → Y:0円 K:2000万円

本来のゲーム理論で説明してみませう
Yが参入するとした場合、競争の0円に対し
共存は1500万円の利益があります。
Yとしては参入すればKが共存し、1000万円の利益が
期待できます。参入しなければ0円ですし。
つまりYが参入し、Kが共存するのが最も合理的と言えます

しかーし!現実にはこのようなことは起らず、
Yが参入し、Kは競争するという結果になります。
損失覚悟の価格引下げをチェーンストア・パラドックスといいます
■新規参入者に対し別の地域での新規参入を思いとどませる効果
■経営陣や社員の競争心を高める、モチベーションを高める効果
などが挙げられるそうです。
私見ですが
実際には、新規参入側が既存量販店に競争せざるを得ない状態を作り出し、既存量販店に打撃を与えているような気がします。


んで、どこら辺がボードゲームに近いかって言うと
合理的な最適とされる戦略を選択せずに、
他プレイヤーに利益を与えない

ちょっとウマい言い方が思いつきませんが、そんな感じです。
トップ(勝利条件に一番近いプレイヤ)に対してとられる手に似てます
通常の戦略では勝てない時にとられますね~

ゲーム理論は、イメージとして人間心理を加味してないように
思われますが、けっこう心理が考えられているんですねぇ~
ゲーム理論を逆算し、ボードゲームに通用する理論
ボードゲーム理論 なるものが考えられたら面白いですな


コミットメント戦略

2005年10月07日 23時59分00秒 | ゲーム理論
私が読んでいるゲーム理論の本には
ゲーム理論で見る外交 というコラムがあって
興味深かったので記事にしてみました。

小泉首相の靖国神社参拝
アメリカのテロには一切屈しないという姿勢
北朝鮮の核を中心とした外交
など一見不可解、頑固に見える行動も
説明することができるのです。

小泉首相が靖国神社を参拝すると
中国でデモが起きたりします。
外交的な問題で「参拝しない方がいいのに」
と思われるかもしれません。
しかし参拝をやめる→ 中国に譲歩した
ということになりる。これは外交のカードに成りうるので
首相としては むしろ参拝をやめるべきではない
と私は思う・・・

北朝鮮の一見不可解な 核保有宣言や強行な姿勢。
アメリカと北朝鮮の外交を単純化してみると

壱、アメリカ・北朝鮮が共に協調する → 米0 北0
弐、アメリカ強硬 北朝鮮協調 → 米-1 北1
参、アメリカ協調 北朝鮮強硬 → 米1 北-1
四、アメリカ・北朝鮮が共に強硬する → 米-10 北-50

になるそうで。壱は平和的解決 四は戦争ですな。
上記の数値は同時進行した場合の結果なのですが
北朝鮮はアメリカに協調政策を取らせたいので
核開発を続けることを匂わせ、強硬姿勢をとり続けることを
強烈にアピールすることで、
アメリカとしては参、四の2つしか選択肢を選ばせないようにしたのです。
参と四を比較すると参を選ばざるをえないのです。

このように自分の戦略をアピールする行為をコミットメント
というようです。同時進行ゲームだったのをコミットメントを先に行い
交互進行ゲームにすることにより優位にしようとしているのです。

このようなコミットメントはボードゲームにも見られますね
(一見不利な)戦術を取ることを、他のプレイヤにアピールすることで
他のプレイヤの選択肢をある程度コントロールする
またはそう意思表示すると、あたかも会話をしているかのような感じにも
なりますわな。

このようなコミットメントを仕掛け、それに答えてくると
俄然ボードゲームが奥深く、面白いモノになりますね。


囚人のジレンマ

2005年10月06日 22時18分00秒 | ゲーム理論
強盗を犯した二人組が窃盗容疑で逮捕されました。
別々に監禁されている二人にはそれぞれ
1、黙秘する
2、自白する
という2つの選択肢があります。

壱、二人が黙秘する → お互い懲役2年
弐、容疑者Aが黙秘
   容疑者Bが自白 → Aが懲役20年 Bは懲役1年
参、容疑者Aが自白
   容疑者Bが黙秘 → Aが懲役1年 Bは懲役20年
四、二人が自白する → お互い懲役5年

容疑者Aについて考えてみると・・・
Bが黙秘をした場合→Aは自白することで最も軽い1年ですみます
Bが自白をした場合→Aも自白することが最良の選択になります
それはBの立場にも同じことが言えます。

相手が自白しようが黙秘しようが、自分は自白した方がいい。
ってことになります。
しかしAもBも最良のはずの「自白」を選んだ場合、
「黙秘」していれば2年ですんだ刑が5年に延びてしまうのです。

相手が裏切るかもしれない という不安によって
望まないものへ導かれてしまう これが 囚人のジレンマ

囚人の~というより、うまく自白させようとする刑法の匠さ 
という印象があります。
刑事や検事にとって、二人の自白が取れるのが最も望ましく
どちらか一方が自白するのが次に望ましく
どちらも黙秘することが望ましくない わけです。
それをうまくコントロールしているのが刑期ですね。

これはマジシャンが使うトリックにも似ていますが
2人の容疑者は知らず知らずに、刑事側の望むように選択してしまうのです。ゲームのルールには、プレイヤーにしてほしくない行為を抑止したり、推奨したいプレイングを暗に言っているものがあります。ルールの真意を読み取ろうとすると、色々と興味深いものがあります。
デザイナーの意図、このゲームで楽しんで欲しいトコロ、その性格・・・

この囚人のジレンマの例だと、
この法律を作った人はいぢわるだろうね、きっと。


ゲーム理論

2005年10月05日 23時55分00秒 | ゲーム理論
最近更新が減っており大変申し訳ありません
出張が続いておりネットのできないホテルなので
こんな状態です。今回はメモ帳に書いたものをこっそり
現場のPCでコピペした次第でございます。
投稿日時は例のごとく変更してあります。

現在面白いネタを手に入れました。
「ゲーム理論」です。
簡単に説明してみると(恐らくですが)
ゲームのプレイングにおける"最善手"を
経済に当てはめる学問 といったところ。

これの初心者本を読み解いています。
するとゲームのプレイングやゲーム作成を
逆算することができ、非常に興味深い。

具体的な内容は・・・
A社、B社の自動車メーカーがそれぞれ
1、価格を据え置く
2、価格を10%引き下げる
の選択肢があり、

壱=A社が1:B社が1
弐=A社が1:B社が2
参=A社が2:B社が1
四=A社が2:B社が2
という組み合わせが存在します。

4つの組み合わせには
壱=A社500億:B社500億
弐=A社400億:B社700億
参=A社700億:B社600億
四=A社400億:B社400億
の売り上げが見込まれるとしています。

A社、B社はそれぞれ
据え置くか、引き下げるか、
どちらを選択したほうが良いか?
ということを考えていく理論です。

表で表すと説明し易いのですが・・・
この理論の「おや?」と思ったことは
4つの組み合わせの結果が分かっているということです。
恐らく統計やら期待値を導いた上でのハナシなんでしょう

ちゃんと 同時進行ゲーム、交互進行ゲーム と
状況別に別けて定義されています。
つまりプレイヤーが同時に選択肢を提示するか
順番に提示するか で考え方が変わるよん
ってのをしっかりやってるのが好感持てる。

その他
勝つことよりも負けない考え方→ミニマックス定理
双方に最善の選択肢を選ぶことのできる→ナッシュ均衡
プレイヤーにとってよりよい状態があるのにもかかわらず
悪い状態に陥ってしまう→囚人のジレンマ
など、興味深い内容が盛りだくさん。

しかし実際のボードゲームと大きく違う部分があります。
(戦略的なボードゲーム という意味にとってください)
ボードゲームには終了条件があり、
ゲームが終了するのに対し、ゲーム理論では
半永久的な理論の展開がなされるところにあります。
さらにボードゲームには勝利条件から勝者が決定しますが
ゲーム理論では、いかに自分の利益を上げるか
という点に重きを置き、他社より利益を上げる目的ではない
のです。そもそも現実世界で企業はスタート地点すら
違うのですから・・・。

大学の経済学科などで学ぶことができるのでしょうか?
私にとってゲーム理論はメカラウロコな理論。
1、プレイヤー(Player)
2、戦略(Strategy)
3、利益(Payoff) または 効用(Utility)
で構成されるゲーム理論は戦略ゲームの基礎とも呼べます。
ただ、人間関係もゲーム理論も使えば~云々とも書いて
ありますが人間関係はそんな理論武装するより
もっと人情あふれる人間くさい男でいたいものです。