目黒重夫昨日・今日・明日

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「坂の上の雲」(文庫版)8巻へ

2015-10-03 11:51:57 | 日記
4年余かかってようやく日本海海戦
司馬遼太郎は好きな作家の一人だ。たいがいは読み出したら一気に読んでしまう、しかし坂の上の雲は難ぎした。読み始めたのは、確かNHKが連続ドラマをやっていた頃だから4年余前になる。当時「作者が映像化を望んでいなかった」とかで話題になっていた。また「司馬史観と近現代」をテーマにした読書会にも参加した。そんなことからスタートしたのだが、1日10ページがやっとだった。1巻終わるごとに何ヶ月か置いてまた始まるを繰り返してきた。これまでの小説と何が違うのだろう、私なりに考えてみた。まず特定の主人公がいない。秋山兄弟、東郷、乃木など人物像は描かれているが、感情移入するほどではない。膨大な資料(だと思う)をもとに、再現シーンのような描写が続くが、あくまでも客観的だ。ようするに小説というより克明な歴史的事実が、しかもゆったりと流れていく。そこが私にとってのめりこむことが出来なかったのではないかと思う。それでも7巻の後半、日本海海戦直前の日露双方の心理描写は、引き込まれるものがあった。
物議をかもした安倍談話は、日露戦争について「植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけた」と決めつけた。これから最終巻に入るが小説に込めた作者の思い、時代の状況をしっかりと読み終えたい。
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