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『フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔 (講談社現代新書)(電子書籍)』

 
どうしてハンガリーが、ノイマンをはじめ多数の天才たちを生んだのか、謎めいているとはいえ、「ハンガリー人宇宙人説」はまんざら、単なるジョークとも思えないとはいえ、とりわけ、天才ハンガリー人の中でも、天才中の天才がフォン・ノイマンというわけだ。現代科学に直結する、集合論、量子論、コンピュータ、ゲーム理論、天気予報に画期的な理論を提供しただけでなく、原子爆弾やアメリカの核戦略に貢献した彼の存在は、際立っている。もちろん、彼とてもすべてゼロから作り上げたわけではなく先行世代や同時代の先学の研究者たちの理論を踏まえているから、宇宙人というのはジョークではあろうが。

随分前に文理を超えた研究者があつまった、超領域研究会に参加していたことがある。趣旨としては、自身の研究テーマを他領域の研究者にも理解できるように話題提供するというもので、合宿で行われた。発表もさりながら、夜の懇親会のあと夜中まで続く議論であった。その時代、遺伝子工学の黎明期だったと思うが、研究者が遺伝子操作にかかわる倫理が語られていたことが印象的だ。生命を操作することについて個人的には罪悪感を持つが、研究室のドアを開けると「世界の誰か他の研究者が明らかにするぐらいなら自分が研究をすすめるとスイッチが入った」という発言だった。

天才ノイマンを「人間のふりをした悪魔」というが、わたしには、彼だけではないことがわかる。本書にもあるようにノイマンはハーバー(アンモニアの合成法を発明し、第一次大戦の毒ガス戦術を主導した)の影響をうけたからだろうし、ノイマン個人というより自然科学者の一面であろうと思う。もちろん、宇宙人ではない人間の一面でもあろうと思う。その意味で、そうした一面を乗り越えるための示唆に一歩でも踏み込んでもらいたかったのが本書であるといったところか。

2021-02-27 22:22:34 | 読書 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


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