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『水底の妖(ハヤカワ・ポケット・ミステリ1829)』

ロバート・ファン・ヒューリック、2009、『水底の妖(ハヤカワ・ポケット・ミステリ1829)』、早川書房

狄判事シリーズの作中時系列では四冊目(短編も入れると六番目ということになるが)の作品。狄判事は出くわした事件の理解と対策を誤ったとして都から派遣されてきた巡察使のおしかりを受けていしまう。もちろん、巡察使のまえで、非凡なところを見せるのではあるが。今回の事件は、白蓮教団の陰謀が絡んで、ことは複雑な様相をしめすのだが、狄判事シリーズは時代設定として倭国・百済遺民の連合軍と唐・新羅連合軍と「白村江の戦い」が同時代ということになっている。白蓮教(マニ教)は、それとほぼ同時期に伝来したものの、この時代に陰謀を巡らす力があったのかどうか。元末の紅巾の乱や後に明の太祖朱元璋は白蓮教徒であったそうだが、日本では室町時代に該当するわけで、時代が合わない。白蓮教団を作中に利用したことも含めて、著者は、狄判事についての資料として利用している「古公案」をあかし、中国古代の裁判制度や本書の物語の仕掛けについて巻末に示していて、興味深い。狄仁傑は実在の人物で、六三〇年に生まれ、七〇〇年になくなり、各地の県知事を歴任し、最後は大理寺卿(最高裁判所長官といったところか)となったのだそうだ。

水底の妖(ハヤカワ・ポケット・ミステリ1829)
ロバート・ファン・ヒューリック
早川書房

2016-11-27 13:22:33 | 読書 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


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