

横浜ユーラシア文化館で「岩に刻まれた古代美術-アムール河の少数民族の聖地シカチ・アリャン」という企画展を見てきた。11時からの学芸員による45分のギャラリートークを聞いてからさらに1時間ほどじっくりと展示を見て回った。
展示内容は、アムール河下流のロシア連邦ハバロフスク地方の村シカチ・アリャンにある今から1万2000年前とも云われる岩面画の写真と拓本と、この村に住む先住民族ナナイの人々の伝承と生活の2つの部門から成り立っている。
岩面画は近くの遺跡が1万2000年前のものということから推定している年代であるらしいが、この遺跡を営んだ人々がつくったかどうかははっきりしない。さらにその後に描かれた可能性も否定はできないらしい。
またナナイ族がここに居住するようになって400年位という推定があり、岩面画とナナイ族を直接に結びつけるものはないらしい。
ただしナナイの人々は岩面画に独特の意味と解釈を与え聖なる遺物としてこれらを守り続けているらしい。ナナイの人々が後から加えた岩面画もあるかもしれないと推定される。図像の解析や解釈は私たちの想像力を大いに刺激してくれる。
岩面画とナナイ族の天地創造神話などもごく一部だが紹介されていて、興味深いものがある。またナナイ族の鮭・鱒漁による生活のあり方、衣食住なども興味深く見ることができた。特に見どころは、ナナイ族の美しい布と衣服である。鮭の皮で作られた衣服、あるいは糸は中国の中原等からもたらされたらしいが美しい紋様におられた婚礼衣装や布製品には目を瞠るものがある。さらに白樺の樹皮で作られた器などの工芸品も美しい。また鮭の皮が靴に細工されるなど強靭なものとは知らなかった。
ナナイの天地創造神話に出てくる射日神話と中国の射日神話の類似性、生命樹・太陽樹などの神話、衣服などに着けられる紋様のアイヌとの類似性など刺激ある展示であった。




学生時代、北方民族の神話の比較研究をしていた院生から聞いた話を思い出しました
来年まで開催のようですから、寒さに挫けなければ出掛けたいと思います
ご紹介、ありがとうございます
具合はいかがでしょうか?
回復をお祈りしております。
うろ覚えですが、ギリヤーク系の民族がいたということを聞いた覚えがあります。
またオホーツク文化とアイヌ文化は別の系統ということになっていますね。
美しい衣服などについて文章を少しだけ追加しました。
また図録から画像解釈の一部を画像として追加してみました。参考にしてください。
退院されて横浜まで足を伸ばせるように回復されることを切に願っております。