goo blog サービス終了のお知らせ 

Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

「さみだれや大河を前に家二軒」(蕪村)

2017年02月14日 20時04分05秒 | 俳句・短歌・詩等関連
★さみだれや大河を前に家二軒
★涼しさや鐘を離るゝ鐘の声
★雨後の月誰(た)ソや夜ぶりの脛白き


 「さみだれや‥」「涼しさや‥」の句はとても有名である。そしてこの3句は同時に作られたという安藤次男氏の指摘があり、そのことわ初めて知った。蕪村62歳の時の吟である。
 私も学生時代に、それぞれ別個の句として、そして蕪村の写生句の代表のように教わった。安藤次男氏の指摘は「この(さみだれや‥)句は娘を婚家から連れ戻した時の句である」という。また他の二句は「さみだれや‥」の句が記された手紙の追伸に記されているとのことである。
「日ごろ何かと病がちの娘」で「掌中の珠のごとくにして育てた一人娘であった」こともあり、「娘が先方の家風しのぎかね」「うつうつと病気づ」いて6ヶ月で連れ戻している。
 このような事情を知って読めば、「家二軒、は大自然の力を前にして、身を寄せ合うものの表現」であると記している。
 そして、「涼しさや‥」の句も、「雨後の月‥」の句も、「鐘を離るゝ鐘の声」「脛白き」がどこかさびしさやかそけさ、弱々しい線の細さを感じる。
 文人風の写生句というよりも、かなり生々しい蕪村の生活の実情が反映しているようにも思えてきた。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。