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Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

晩秋の鹿 2

2018年10月31日 22時34分09秒 | 俳句・短歌・詩等関連
 さて晩秋の「鹿」の句、気になった句はいろいろある。

★鳴く鹿のこゑのかぎりの山襖     飯田龍太
★鹿の声ほつれてやまぬ能衣装     野澤節子


 百人一首の「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき  猿丸大夫」が秋に鳴く鹿のイメージとして固定している。ここから鹿というと古来からさびしい声ということになっている。歳時記を見ても、声との連想のさびしさを詠んだ句が多い。だが、発情期のオスがメスを呼ぶ声は烈しく、縄張りを主張する声はもの悲しい。

 第1句は激しい恋の声をきいている。さぴしい秋風や寒さを背景としたもの悲しいというイメージではなく、烈しいオスらしさを詠んでいて私には新鮮に見えた。逞しいオスを強く感じる句である。

 第2句は鹿の声から11月に冬毛に生え変わる時期でもあるので、そちらに着目して、能衣装のほつれと、生え変わるために抜けた毛を結びつけたのだと思う。分厚い能衣装、年代物なのであろう。そしてどんな演目で着用する衣装なのだろうか。間違いなく男女のもつれにまつわる演目だろうが、舞台に立つ人でなければわからない実感でもあろう。見ている限りはそこまでは想像できない。

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