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Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

ヴァイオリンと春の宵

2018年04月21日 22時03分57秒 | 俳句・短歌・詩等関連
 本日の会議が先程終了。こんな句にであった。

★ビオロンの指の辿りし春の宵    神谷敦子

 ヴァイオリンの竿の黒い部分は弦を左指で押さえる大切な部分。この左指と黒い部分の感触はヴァイオリニストにとっては実に大切な感覚である。大気の気温や湿度、室内灯が当たっているかどうか、といった微妙な差で指の滑り具合や押え方、指と指の重なり方でも微妙に変わる。これはヴァイオリンを長く経験すればするほど繊細に感じてくるものである。
 1ミリの十分の一の差ですら音程に狂いが生ずる。角度が違っても音程は違うし、音色が変わる。指の腹で抑えるか、爪に近い部分で押さえてしまうかでも差が出る。
 作者は指の竿の部分の滑り具合や、弦を抑えたときの感覚で春の宵を感じたのだろう。私には感覚としてピンとくるものがある。それは多分ヴァイオリンの音が良く鳴る感覚、演奏しやすい感覚、つまりは肯定的な感覚であるはずだ。

 冬とは違って適度な湿り気があり、ヴァイオリンの共鳴板もしっとりとした音を増幅してくれているのではないか。弓も弦に適度に吸いつき、そして弾んでくれる。それは弓を持つ右手にも伝わる。
 左右10本の指、左右の手首の動き、肘の動きにも連動する。左肩とあごの圧力を通して上半身から全身に伝わる感覚でもある。すべての弦楽器に共通だが、弦の振動は耳だけでなく、体全体でその振動を感じるものである。

  私はこの作者、かなりの弾き手だと直観した。ひょっとしたら私が未だ知らないヴァイオリニストなのか。そうであったらゴメンナサイ。私の無知である。作者は体全体で楽器の音を感じている。

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