科学雑誌はニュートンをたまに(1年に1度くらい)購入することがある。日経サイエンスはニュートンに比べて高いこともあり、ほとんど購入しない。立ち読みもあまりしない。
今回も税込み1466円ということだが、新型コロナウィルスについて少しくらい勉強してみたくて購入してみた。
高校生のときから「生物」は得意ではなく、敬遠していた。そのために細胞学や遺伝子レベルの議論はなかなかついていけないのだが、「ネイチャーダイジェスト「コロナウィルス血栓症の謎」、「図説 感染・増殖・防御の仕組み」、「ゲノム解析でウィルスの謎に挑む」、「世界規模のトラウマ 克服への処方箋を探る」をかろうじて目を通すことが出来た。「理解」したとはいいがたいが‥。
詳しく要約をする能力もないが、編集部の出村政彬氏の「ゲノム解析でウィルスの謎に挑む」は、「国ごとに流行の様子が異なり、同じ国の中でも一部の感染者だけが重症化するウィルスとヒトのゲノム解析から、その理由を探る」観点での概括を示している。文章の最後だけでも掲載しておきたい。
「薬の開発をめぐっては、治験の結果が出ないうちから米国のトランプ大統領が特定の薬を「ゲームチェンジャー」と称したり、日本の安倍晋三首相が承認時期を明言したりするなど、政治家の前のめりな姿勢が目立つ。本来、薬やワクチンの開発は病気の科学的理解と共に試行錯誤を重ねて進むものだ。早期の終息が望まれるこの感染症も例外ではない。ゲノム解析から分子生物学、臨床現場や疫学に至るまで、様々な知見を取り入れながら緻密に研究を進めていくことが治療薬やワクチン実現の近道といえる。」
政治家が病気を克服するのではない。政治家は治療のための医療制度の充実と体制の拡充・整備、患者の経済的支援、感染拡大防止の方策の実施、経済活動のほか市民生活の下支えに全力を尽くしてもらいたいものである。あるいは薬やワクチン開発、治療器具の開発の経済的・人的後押しをするのも重要である。このような危機のときに混乱しないような医療制度や医療従事者の育成などの普段からの備えも必要である。
しかしながら、戦争状態などと不安を煽ったり、薬やワクチンの開発に口をはさんだりして政治家の手柄合戦に危機を利用しないでもらいたいと心から願っている。