図書2月号を読み終えた。本日読んだのは次の諸編。
・「孝」とルソー 松田道雄「おやじ対こども」を読む 河野有理
・帝王を動かすちから 大月康弘
・幽霊とお化け 谷川俊太郎
「自分にかまけるなという言葉も母から何度も聴いた覚えがあって、躾の一環として子どもの自分本位をいさめる言葉でしたが、‥幽霊はやはり自分にかまけざるを得ない事情があって、この世に舞い戻ってくるのではないでしょうか。」
・エンデと『モモ』と遊びについて 那須田淳
・幕末から明治初期の西洋体験 新関公子
「異国趣味としてのジャポネズリはかなり昔から上流階級の贅沢だったが、変化の現れたのは日仏修好通商条約の結ばれた1858年以降と思われる。日本に赴任した軍人たちは帰国に際し、‥土産に餅かっ得たらしく。それらは1860年代から骨董店で一般市民が入手できた。」
「モデルに豪華な着物を着せたり、日本の屏風や工芸品や浮世絵を部屋に飾り、それを絵に描くという、単純な日本美術愛好の段階をジャポネズリとすると、ジャポニスムは日本美術、特に浮世絵に描かれた人間の民衆性、宗教性と道徳的教訓性の配乗、自然への愛、季節や時間の表現、など形の一定しない自然現象の表現、紙の白色下地が明るい発色と基礎となっていること、陰影や混色のない純色面による画面構成など、表現内容と技法の本質への理解と愛好の段階といえようか。」
「背景にお気に入りの浮世絵をたくさん並べたゴッホのパリ時代の《タンギー爺さんの肖像》はジャポネズリ段階であるが、死の二週間前に描かれた《雨のオーヴェール風景》はジャポニスムの典型に達している‥。」
多くの美術愛好家には既知のことではあるが、あらためて整理をしてもらったようだ。
以上の11編を今号で目を通した。