いつものように覚書として。
・表紙絵「そのままの夢」 司 修
「‥檻が、広場の真ん中にありました。「檻の中を見れば、あなたが縛られているものから逃れられますよ」詩人の那珂太郎さんがそういったように思います。私が檻の周りを歩きますと、犬と猿は首をくるりと回してわたしを見続けるではありませんか。先輩のTと、口論した後の、もんもんとしている私を、那珂さんが案内してくださった犬猿の檻。「‥しょっちゅう喧嘩をしますが、仲がいいんですよ」という那珂さんの言葉が忘れられないのです。」
・喪失と至福 玄順惠
「伝える相手を失った私の言葉は、自分の奥深くに固く引き籠ったまま、もう、かつてのような音声の響きを奏でることはしなかった。私は、「幸せは、もらた人よりあげた人のほうが幸せなのよ」と答えた。至福は、喪失の裏に宿るのである。」
・歌仙・惜櫟荘の巻 岡野弘彦・三浦雅士・長谷川櫂
久しぶりに歌仙36句を楽しんだ。歌仙36句は解説を読まないとなかなか理解できない。起承転結、この仕掛けがわからないと面白くないのだが、解説を楽しむのが歌仙を読む楽しみである。
・就学時検診からの「人間万事塞翁が馬」 小笠 毅
「いまよりもずっと厳しい生活環境を、おおらかに共に生きようとした縄文人。かたやシステマティックに子どもたちを振り分けて管理する現代の教育。時代も状況も違うといってしまえばそれまでですが、私たちはもう少し、人と人との出会いが生み出す可能性を信じる、懐の深さを持っても良いのでは、と思います。」
・夜間中学生たちの学びから 盛口 満
「「五つのことを負い得るより、ひとつのことをきちっと負い得た方がいいよ」‥近年学校現場には‥事前に授業計画が組み上げられていじされるしくみとなってぃる。しかしそれは、本当に学び手のためのしくみになっているのだろうか。なんのために学ぶのか。夜間中学生の学びから、教わることは多い。」