Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

秋の蝉

2016年08月17日 23時26分41秒 | 俳句・短歌・詩等関連
 南風が強くとても暑い一日、ようやく18時半になってようやく強風注意報は解除された。雷注意報はまだ発令されたまま。
 夜になっても蝉の声が止まず、台風前よりもかえって勢いを増したかのように鳴いている。法師蝉よりも蜩の方が圧倒的に多い。虫の声はすっかり蝉の声に押され、聞こえてこない。そして面白いことに全体として起伏がある。大きく小さく、これは秋の蝉のもつ独特の体内時計によってもたらされる時間かもしれない、と思ったが、根拠はない。

★遠き樹に眩しさ残る秋の蝉         林  翔
★秋蝉や島に古りたる神楽面         荒川優子
★たちまちに蝉の声揃ふなり         中村汀女
★茅蜩(ひぐらし)や一枚の画の夕まぐれ   石田波郷
★また微熱つくつく法師もう黙れ       川端茅舎
★かなかなに理髪師の鋏暮るるなり      石田波郷


中桐雅夫「新年前夜のための詩」

2016年08月17日 20時57分06秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
 昨日取り上げた中桐雅夫が「荒地詩集1951」に発表した「戦争」の連作12編の最後に位置する詩。私の中桐雅夫から受け取る「死」の匂いはこの詩に由来する。
 「荒地詩集1951」が復刊された1975年の夏、就職したばかりの私は、貪るようにこの詩集を読んだ。
 最後の5行「わたしは忘れ わたしは忘れ去られる/死骸が墓のなかに落ちこんでゆくやうに/わたしはわたし自身のなかに落ちてゆく/わたしの細く深い海峡のなかに/わたしの暗いあすのなかに」の意味が判らないままにも、気に入って頭の中で反芻したことをおぼえている。それほど私の学生時代はどこかに「死」の匂いがしていたと思う。「死」への馴致や憧憬、と言ってしまえば薄っぺらい。しかしそんな20代の切羽詰まった思いを引きづっていたとも云える。
 今、60代半ばを過ぎて、このような詩を思い浮かべるというのはどのようなことが脳の中で起きたのであろうか。脳内でどんな突沸が起きたのだろうか。私の意識しない脳内で何が起きているのであろうか。

 新年の前夜のための詩   中桐雅夫

最後の夜
最初の日に向ふ暗い時間
しづかに降る雪とともに
とほくの獣たちとともに在る夜
さだかならぬもの
冷たくまたあはれなすべてのもののなかに
形づくられてゆくこの夜

ちひさな不幸が窓ガラスをたたき
人間の眼は灰の悲しみに光る
最後の歌は地をおほひ
闇のなかに
聖なる瞬間はしだいに近づいてくる
死と生とが重なりあふその瞬間
「時」のなかのそのちひさな点が
われわれに襲ひかかつてくるまへに
なにかなすべきことがわれわれに残されてゐるだらうか

おお その聖なる瞬間
われわれはただ知らされるのだ
すべての偉大な言葉はすでに言ひつくされ
生の約束も死の約束の変形にすぎないことを
おお その聖なる瞬間
あすに向つて開かれたドアからは
すべての未来が流れ込み

室内は水晶と闇の光に輝く
おお その聖なる瞬間
わたしは忘れ わたしは忘れ去られる
死骸が墓のなかに落ちこんでゆくやうに
わたしはわたし自身のなかに落ちてゆく
わたしの細く深い海峡のなかに
わたしの暗いあすのなかに



ブラームス「自作主題による変奏曲」(作品21-1)

2016年08月17日 11時09分12秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
      

 ペーター・レーゼルのブラームスピアノ独奏曲全集の3巻には、3曲収録されている。
 作品24「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」(1861、28歳)と作品35「パガニーニの主題による変奏曲」(1863、30歳)と今回取り上げる作品21-1「自作主題による変奏曲」(1857、24歳)である。
 わたしもこの第3巻は何回か聴いているはずだが、この作品21-1は印象に残っていなかった。今回このCDをかけてみて、主題の旋律におおいに惹かれた。和声を厳格に守る方法が確立されたということを聴いたことがある。15分という長い曲であるが、幾度も繰り返し聴いている。しかしどうしても最初のテーマが頭から離れない。魅力のある18小説である。


台風一過

2016年08月17日 09時54分37秒 | 天気と自然災害
 一晩中雨が続いた。時間当たり20ミリ前後の雨だったと思う。30ミリを超えると道路目冠水などの被害が出てきたり、小規模の土砂崩れなどの恐れも出てくるが、さいわいそれほどではなかった。そして朝の4時半少し前に「大雨・洪水注意報」が解除になった。以前として強風・雷注意報が発令されている。

 朝からやや西寄りの南風が強く吹いている。日ざしが強い所為だと思うが、夜の雨を伴う風と違って、今のところ爽やかさすら感じさせる葉と枝の摺れ合う音である。音の響き具合が違うのは空気中の水分の差によるのであろうか。あるい蝉の声の所為だろうか。風の音が遠くまで伝わっていくように感じる。湿度予想は75%を超えているが、もっと低いように感じている。風は強いので、飛来物など出歩きは注意が必要に思われる。

 朝7時には、横浜市から熱中症注意情報も配信された。本日の予想最高気温は35℃。これから暑さが厳しくなりそうである。