Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

北斎「百物語 さらやしき」

2016年05月17日 21時30分32秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等


 2014年10月に私は当時上野の森美術館で開催していた「北斎展」で次のように記載してみた。

 もう一枚は、1832年の頃の「百物語 さらやしき」。百物語は当時はやった「怪談会」のことで、怪談をひとつ終わるごとに燈明を消していき、最後の明かりが消えるときに怪異現象が起こるといわれた。「さらやしき」は惨殺された下女のお菊が夜に井戸から現われ、皿を数えるという有名な話。
 このシリーズの妖怪、怨霊はどの絵もどこかおかしみを誘う絵であるが、これもこれから数えはじめるのか、途中で草臥れたのか、霊気を吐きながら上目遣いで一息入れているとしか思えないポーズである。しかもろくろ首のように首が長くお皿を首にかけている。
 若い頃はじめてこの絵を見て、私はキセルをふかして一息入れているろくろ首だと信じていた。遊び心満点の絵である。「怪談会」も北斎の手にかかるとこのように滑稽味も付加される。

 昨晩本箱にあるポストカードの収納帳を見ていたら、この作品が目についた。目についたというよりもこの女性の妖怪の顔に惹きつけられた。随分と現代的な顔をしているな、と思った。これまで「おばけ」としてしか見ていなかったのだが、極端だが垂れた目の黒目の部分の描き方、鼻から唇、顎にかけての描写が現代的な感じでないだろうか。浮世絵の女性像からはとても想像できない横顔の女性像が妙に生々しい。額の張り出しは現代人とは違うが、顔の眼より下はとても現代的ではないだろうか。

         

 例えば2015年8月に芸大美術館で開催された「うらめしや~」展での出品された女性の妖怪・幽霊図などの作品などには見られない像である。西洋画の影響を指摘するだけでは何か足りない。その時には明治以降の妖怪図も掲出されていたが、それらは江戸末期の妖怪図の範疇を超えない作品に思えていた。
 有名な「伝円山応挙 18世紀 幽霊図」、「鰭崎英明 1906 蚊帳の前の幽霊」、「上村松園 1918 焰」などとはまったく違う女性像である。
 私も含めて多くの人は、幕末から明治初頭の日本での写真を見て、「日本人の顔はずいぶんと変わった」と感じている。男女ともやせ形からふくよかになった以上に骨格も、目の表情も違いがある。ということはこの北斎の女性像は、描き方が西洋画の方法を取り入れただけでなく、当時の女性とは違う北斎の頭の中にある特別な女性像ということになるのかもしれない。誰がモデルだったのかは私などにはわからないが、当時の女性の化粧などを落とすと女性の顔はそれほど変化はない、ということなのだろうか。
 いくら想像してもわからないのだが、この絵を見て当時描かれた女性像とかなり違うことと、現代の日本の女性像からは遠くないということだけは強く感じた。



モーツアルトの音楽

2016年05月17日 13時32分44秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
 久しぶりにモーツアルトを幾度もかけて聴いている。ピアノソナタ第15番(K.515)、第18番(K.533/494)、ロンド(K.511)。
 この中ではソナタ第15番がもっとも有名で、15番というのは「旧モーツアルト全集」にしたがった通番。現在は「国際モーツァルテウム財団」による「新モーツアルト全集」にしたがい16番とすることになっているらしい。1788年、モーツアルト32歳の先の作品である。3年後に亡くなるので晩年の作品といえる。
 「初心者のための小さなソナタ」と作曲家自身が名付けた曲で、誰でもがどこかで聴いたことがあるはずだ。ピアノを習う人の使う「ソナチネアルバム」に収録されていて、近所の家か流れてきたことがあるはずである。私はこの第2楽章が気に入っている。
 しかしどうしてモーツアルトという人はこのように美しい曲を湧き出るように書き留めることが出来たのであろうか。演奏する側に立つとどのひとつの音も省くことも、手を抜くこともできない。おろそかにできない音が並んでいる。演奏する側はかなりの緊張を強いられると思う。
 決して饒舌な音の奔出ではない。暖かみのある丸い音が下から湧き上がるように次から次に出てくる。豊かな泉を思わせる。柿田川の湧水群を見るような気分になる。


ふたつの余震

2016年05月17日 11時08分56秒 | 天気と自然災害
 昨晩の茨城県南部の地震の余震と思われる地震が今朝6時55分と57分に起きたらしい。2度目の余震では、私の住んでいるところのすぐ傍が震度2の表示が出ていた。私はまったく気がつかず寝ていた。計測深度は1.5ということで、繰り上げて2と表示されたようだ。
21時23分 M5.6 深さ40キロ (N36.0、E139.9)
 6時55分 M4.0 深さ40キロ (N36.1、E139.9)
 6時57分 M4.3 深さ50キロ (N36.0、E139.9)
 最初の地震は横浜市域では人が感じる揺れはなかったようだ。

 始めは気象庁のHPの画面に表示されているふたつの地震が同一地震をあらわしているのかと思ったが、横浜市域の震度情報の有無によって、別の地震だとようやく気がついた。

 熊本の地震のように余震活動が活発化するのは大変なストレスを社会と人に与える。これ以上余震が起こらないでほしいものである。

 本日は昨晩に続いてモーツアルトのピアノソナタ第15番と第18番を聴きながら、昨日の幹事会で決まった日程をスケジュール帳に埋め込む作業から始めている。
 横浜市域には強風注意報が出ており、強めの雨が降り続いているので、家でおとなしくしていた方がよさそうである。