Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

枯芝

2011年12月04日 17時18分53秒 | 俳句・短歌・詩等関連
本日の俳句
★夕闇に芝枯れてゆく夢の中
★還暦に玉露の香りと冬陽射し

 岩波文庫で「芥川龍之介俳句集」を読んでいる。約1160句。はじめて知ったのは、「蝶の舌ゼンマイに似る暑さかな」の元の句が「鉄条に似て蝶の舌暑さかな」であったとのこと。人口に膾炙した先の句の形が、飯田蛇笏の添削なのか芥川龍之介自身の添削かはわからないが‥。
 さて飯田蛇笏の「流燈やひとつにはかにさかのぼる」の句を、塚本邦雄は「百句燦燦」で取り上げている。塚本邦雄と飯田蛇笏の取り合わせとはちょっと驚かされた。云わく「幽、明の界を七三に見分け凄艶な詞花を操つて誘魂鎮魂をあへてする才質は、鏡花以来のものであることは紛れもなく、日本の伝統文芸に間歇的に現れる稀種であろう」「作者は此岸から流燈に憑つた死霊をさし招いたのではなからうか」。
 なかなかここまで飛躍して解釈することは私などにはとても出来ないが、いかにも塚本邦雄らしい言である。この「百句燦燦」読み通すのはなかなか難しい。途中で放り出したくなる、「どうしてそこまで云えるのか」と首を傾げるもののある。ようやく40句まで目を通したが、はたして理解したのは何%か。塚本邦雄の世界は、作品の持つある意味強引な吸引力と、それに反発する読者の不思議な均衡に成り立つ世界である。