Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

きり絵「ふるさと福島」から(12)猪苗代町天鏡閣(きり絵さとうてるえ)

2010年07月13日 21時58分05秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
天鏡閣

 福島県猪苗代町にある旧有栖川宮翁島別邸をいう。本館・別館・表門は1979(S54)年に国の重要文化財の指定を受けた。
 有栖川宮の別邸として1908(M41)年に建築。ルネッサンス様式を取り入れた和洋折衷。当時では極めて豪華なつくりであった。天鏡閣の付近には高松宮の和風別邸(現福島県迎賓館、国の重要文化財)も建てられともに高松宮の所有となった。
 1951(S27)年福島県に払い下げられ、1979(S54)年国の重要文化財に指定、県は翌年から建物の修復を行い、一般公開されるようになった。
 大正天皇が皇太子時代にこの地に滞在し、別荘から見えた猪苗代湖の湖面を鏡に例えたことから李白の「明湖落天鏡」より命名(直筆の額が保存されている)。現在は周囲の樹木で湖面を見ることはできない。

 木造の和洋折衷の建物は、横浜の西洋館など各地にある。いづれも私は見ると心惹かれる。函館に育った私は小さい頃から函館の公会堂や古い教会を見ていたから心惹かれるのかもしれないが、それだけではないであろう。いづれも趣があり、また建築した設計者の設計思想や、発注者・居住者の好みや利用目的に沿ってさまざまな個性が光るように思う。そしてつくりが叮嚀であることが素人の眼で見てもわかる。
 むろん当時の社会の貧富の格差や身分制の問題はあるのは承知をした上で書いているつもりだ。
 このような作品を心がけているさとうてるえさんに敬意を表している。