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伊東良徳の超乱読読書日記

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星のように離れて雨のように散った

2022-01-07 22:18:52 | 小説
 修士論文として父親をモデルとした小説を、副論文として「銀河鉄道の夜」の改稿を題材に宮澤賢治の晩年の宗教観を扱うことにしている大学院生原春が、体育会系・理系の彼氏と交際しながら踏み込まれると戸惑い、同じ研究室の同期生から紹介されて父親世代の売れっ子作家の元でアシスタントのアルバイトを始め…という青春小説。
 進まない小説、「銀河鉄道の夜」の第1稿から第4稿をめぐる解釈と議論を通じて、作者の小説論・小説観が展開されまた垣間見させられ、その産みの苦しみであったり、幼年期のトラウマを抱えているらしき主人公の苦悩や癇癪がストーリーの主軸にあることで、苦しさが強く感じられる作品です。
 同年代の男とつきあいながら、年上の父親世代に惹かれていくというパターンは、作者の習い性なのか、掲載誌の読者層を意識したものか…
 春の彼氏亜紀の側から読めば、愛してるとか結婚しようと言ったら疑われ不機嫌になり壁を作られ、それでありながら自分の考えが足りなかった、春と向きあっていなかったなどと反省させられ、作品の展開上それが当然のように描かれていくのは、時代の趨勢なのかも知れませんが、とても不条理に思えます。


島本理生 文藝春秋 2021年7月30日発行
別册文藝春秋連載
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