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伊東良徳の超乱読読書日記

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場所

2017-06-21 01:07:46 | 小説
 目が覚めたら見知らぬ真っ暗闇の室内にいた男が、ドアを見つけて開けてもさらに別の部屋が続き、行けども行けども同じ構造のドアと部屋が続いているという状況で、困惑し、行く先々の部屋で出会う言葉の通じない人々と摩擦を起こしたり不安・不快感をぶつけながら、先行きの見通せない焦燥感と絶望・諦念、日常と非日常の相対化、確固たるものと思っていたこれまでの人生と不条理な現状の相対化、変転の常態化に身を任せつつも、神経をすり減らし疲弊し衰弱していく様子を描いた第1部、疲労困憊の末、建物から出て一部開いた空間で数人の同様の運命にある人々と過ごし、回復するとともに、関係になじめず対立と散開に至る第2部、喧噪と混乱の都市を経てかつての住処/日常と閉じ込められた徘徊の日々を錯綜させ相対化する第3部からなる不条理系小説。
 第1部は、私が高校生から大学生の頃に読んだ「砂の女」「箱男」「密会」の世界を思い起こさせ、懐かしさと新鮮さを感じました。
 しかし、第1部の終盤あたりから、主人公が漂流しているのではなく作者が持って行く先を見失って漂流している感じが漂い第3部は不必要にドタバタさせ(安部公房で始まり筒井康隆で終わるのかとさえ感じさせ)ラストはよく言えば哲学的内省的なまとめかもしれませんが、不条理劇をノスタルジーで回収している感じで切れがなく収まりが悪いように思えます。
 第1部で終わるか、第1部から別の方向へ持って行った方がよかったんじゃないかと思います。


原題:EL LUGAR
マリオ・レブレーロ 訳:寺尾隆吉
水声社 2017年3月30日発行 (原書は1982年)
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