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伊東良徳の超乱読読書日記

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明日の空

2011-04-13 20:32:06 | 小説
 高校3年生の春から日本の高校に転校してきた帰国子女の真辺栄美が、ハンサムで背が高く成績もよくスポーツもできる飛鳥部、クラスでハブられている小金井志郎らと過ごす学園生活を描いた青春ミステリー。
 栄美と飛鳥部の美男美女人気者カップルが何者かに度々デートを邪魔され、そのうちに飛鳥部が受験を理由に栄美から離れていき栄美の傷心で終わるPART1のあと、六本木で外人相手のガイドでチップを稼ぐ大学生ユージとユージに声をかけてきた黒人アンディの友情物語のPART2が続き、大学に進学した栄美が友人や謎の学生山崎と絡むPART3で終わる3部構成になっています。PART1からPART2に進むところで話が断絶して頭をひねりながら読むことになりますが、これがPART3への布石となっていて、PART3で布石はきれいに回収されていきます。そのあたりの構成は、あざとさが目に付きますが、一応見事と言っておきましょう。PART2のPART1との連続性を読者に意識させないことが作者にとって大事だというのは振り返ってみればわかりますが、ややアンフェア感が残ります。
 差別をはじめ、この社会のいやなことはいつかはいい方に変わっていく、そのことを信じて、「明日は晴れだ」と思う、タイトルに込められたメッセージは、すがすがしい。


貫井徳郎 集英社 2010年5月30日発行
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