1920年代のパリで時代の寵児となったポーランド出身の女性画家タマラ・ド・レンピッカの解説付き画集。
自分の個性についてとやかく言われることを嫌い日記や手紙類の記録資料を残さなかったため伝記が書かれなかったというタマラ・ド・レンピッカについて、娘のキゼットが書いた本などを材料に解説をしています。
社交界への取り入りと唯我独尊的な発言は、人間的には私の好みとは反対ですが、1920年代の肖像画作品には輝きがあります。
タマラ・ド・レンピッカの作品は、肖像画が中心で、古典派のアングルとキュビズムがミックスされたような画風です。キュビズムの採用は肖像部分では初期に軽くなされているだけで主として背景部分で用いられていますので、キュビズムの嫌いな人にもあまり嫌われない絵になっています。金儲けのために短期間に多作したということと表裏しているかもしれませんが、シンプルな色づかいとシンプルな力強く美しい曲面表現が特徴的です。また透き通るような眼差しも印象的で、現代のイラストに通じるものがあります。

原題:Tamara de Lempicka
シュテファニー・ペンク 訳:水沢勉
岩波アート・ライブラリー 2009年11月19日発行 (原書は2004年)
自分の個性についてとやかく言われることを嫌い日記や手紙類の記録資料を残さなかったため伝記が書かれなかったというタマラ・ド・レンピッカについて、娘のキゼットが書いた本などを材料に解説をしています。
社交界への取り入りと唯我独尊的な発言は、人間的には私の好みとは反対ですが、1920年代の肖像画作品には輝きがあります。
タマラ・ド・レンピッカの作品は、肖像画が中心で、古典派のアングルとキュビズムがミックスされたような画風です。キュビズムの採用は肖像部分では初期に軽くなされているだけで主として背景部分で用いられていますので、キュビズムの嫌いな人にもあまり嫌われない絵になっています。金儲けのために短期間に多作したということと表裏しているかもしれませんが、シンプルな色づかいとシンプルな力強く美しい曲面表現が特徴的です。また透き通るような眼差しも印象的で、現代のイラストに通じるものがあります。

原題:Tamara de Lempicka
シュテファニー・ペンク 訳:水沢勉
岩波アート・ライブラリー 2009年11月19日発行 (原書は2004年)