アニメ映画「スカイ・クロラ」の監督とプロデューサーによる「スカイ・クロラ」のメイキングストーリー。
衣食住に困らぬ社会でハングリー精神や目的を持てず将来の選択肢も現実には狭い中で閉塞感を感じている若者たちの気分を描きたいというような動機が語られ、例え永遠に続く生を生きることになっても昨日と今日は違う、そうやって世界を見れば僕らの生きているこの世界はそう捨てたものじゃない、同じ日々の繰り返しでも見える風景は違う、そのことを大事にして過酷な現代を生きていこうというようなメッセージを伝えたいということが語られています(7~11頁)。
しかし、そうだとしたら、何故キルドレは生を実感するために死を意識し戦闘機乗りを選ぶのでしょうか。むしろ昨日と変わらぬ地道で退屈な日々を送る若者たちの閉塞感をそのまま描き、その中から、わずかな変化を見出していくという設定の方が、語っている内容からはずっと素直に思えます。
メイキングストーリーの中で語られている経過(例えば62頁、94頁)からすると、単純に戦闘機が好きで、今まで誰もやったことがないような空中戦を描きたくてそういう話にしただけじゃないかと。草薙水素の髪をおかっぱにすることを監督が譲らなかったのも単に好きだから(116~117頁)というのと同じように。
映画を見ていて感じた、アニメにしては異様に多い無言の間と長いカット、空のCGと地上の2次元手書きアニメの対比、光の過剰なまでの強調などの背景と思い入れは、読んでなるほどと思いました。
タイトルはさておいて、「スカイ・クロラ」を見た人のためのファンブックと思った方がいいでしょう。

押井守編著 岩波書店 2008年8月6日発行
衣食住に困らぬ社会でハングリー精神や目的を持てず将来の選択肢も現実には狭い中で閉塞感を感じている若者たちの気分を描きたいというような動機が語られ、例え永遠に続く生を生きることになっても昨日と今日は違う、そうやって世界を見れば僕らの生きているこの世界はそう捨てたものじゃない、同じ日々の繰り返しでも見える風景は違う、そのことを大事にして過酷な現代を生きていこうというようなメッセージを伝えたいということが語られています(7~11頁)。
しかし、そうだとしたら、何故キルドレは生を実感するために死を意識し戦闘機乗りを選ぶのでしょうか。むしろ昨日と変わらぬ地道で退屈な日々を送る若者たちの閉塞感をそのまま描き、その中から、わずかな変化を見出していくという設定の方が、語っている内容からはずっと素直に思えます。
メイキングストーリーの中で語られている経過(例えば62頁、94頁)からすると、単純に戦闘機が好きで、今まで誰もやったことがないような空中戦を描きたくてそういう話にしただけじゃないかと。草薙水素の髪をおかっぱにすることを監督が譲らなかったのも単に好きだから(116~117頁)というのと同じように。
映画を見ていて感じた、アニメにしては異様に多い無言の間と長いカット、空のCGと地上の2次元手書きアニメの対比、光の過剰なまでの強調などの背景と思い入れは、読んでなるほどと思いました。
タイトルはさておいて、「スカイ・クロラ」を見た人のためのファンブックと思った方がいいでしょう。

押井守編著 岩波書店 2008年8月6日発行