伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

「やめられない」心理学 不健康な習慣はなぜ心地よいのか

2008-07-01 22:13:04 | 自然科学・工学系
 健康心理学の入門書。
 タイトルにある不健康な習慣がなぜ心地よいのか、なぜやめられないのかは、ほとんど書いていません。どう考えても「健康心理学入門」というタイトルにすべき本で、たぶん著者はそのつもりで書いているものを出版社が売るためだけにこういうタイトルを付けたと思われる本です。このタイトルに惹かれて読んだらほぼ確実に頭に来ます。
 健康のため、生活習慣病予防のため、定期的な運動、朝食を必ず食べる、間食をしない、タバコを吸わない、十分な睡眠、適正な体重、過度の飲酒をしないの7つの習慣が重要なことは明らかだけどなかなか守れないのはなぜかという問題提起は最初にあります。でも、そこで書かれているのは、世間話のレベルで、不健康な習慣の誘惑は思いの外強いということで、なぜ心地よいのかの話はほとんどありません。
 私が唯一目を引かれたのは、例えばタバコを吸いたいという刺激は銘柄等に支配される傾向が強いので、禁煙したいがどうしても吸いたいというときは、タバコを買わないのではなく、いつもと違う銘柄を買え(66~67頁)という助言です。いつもと違う銘柄だと吸ってみてもそれほど価値を感じない、次に吸いたくなったらまた別の銘柄のタバコを買う、そうしているうちにそれほどタバコを吸いたいと思わなくなるというのです。私はタバコを吸わないのでよくわからないけど、ちょっと斬新な考え方。同じようにダイエットは食べるのを我慢するのではなく、少量のものをおいしく食べるか、苦手なものを食べることで自然と食べる量を減らすのだそうな(98~101頁)。
 後半はもう不健康な習慣問題とはまったく関係ない健康と心理学のお話。タイトルで関心を持っただけなら第3章と第4章だけにした方がストレスを感じないと思います。


島井哲志 集英社新書 2008年4月22日発行
コメント
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