紫蘇の効用

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ボクの四谷怪談

2012年10月10日 | ミュージカル

シアターコクーンで蜷川幸雄さん演出の『ボクの四谷怪談』、観ました。
XB列だったので2列目かと思って行ったら、最前列かぶりつきでした

 民谷伊右衛門/当世蒼白青年:佐藤 隆太
 お梅/恐怖早熟少女:谷村 美月
 お岩/怪奇正体不明:尾上 松也
 お袖/可憐同棲少女:栗山 千明
 佐藤与茂七/悲憤公害青年:小出 恵介
 直助権兵衛/無残薄倖少年:勝地 涼
 伊藤喜兵衛:勝村 政信
 義父の四谷左門:瑳川 哲朗
 次郎吉/天ッ晴淫乱少年:三浦 涼介
 お熊:麻実 れい
 仏野孫兵衛:青山 達三
 小仏小平の母:梅沢 昌代
 老女A:市川 夏江
 宅悦:大石 継太
 第二のお岩:明星 真由美
 お色:峯村 リエ
 お花:新谷 真弓
 法乗院の所化:清家 栄一

バルコニーには提灯が並び、幕は定式幕、舞台転換のスタッフも黒子の装束で、歌舞伎スタイル。
タイトルの騒音歌舞伎に”ロックミュージカル”ってルビをふってあるので、歌舞伎の”歌”のとこが現代調なのかな?
ま、新しい、と思っていたら、これは40年ほど前に書かれた脚本なので、人物の相関関係は江戸時代で、設定は昭和の東京、といずれも今からすれば過去。時代ものです。
昭和っぽいパンタロンジーンズやロンドンブーツに帯刀というスタイルや、今では見かけない行商スタイルのおばあちゃんや、おこもさんなど、随所に昭和臭のするディテールにこだわっていながらも、設定をあやふやにしているので観るほうの受け止め方は千差万別になるだろうなー。

ミュージカルってったって聞かせるほど歌いあげる役者は少なくて、むりやり歌わせてるって感じです。
しかも、上手・下手の上段に歌詞字幕が表示され「〇〇のォ~」と伸ばすとこまで書かれてると歌聞くどこじゃない滑稽な感じです。
古い曲にセリフを当てた歌も多いけど、直助とお袖が小さなちゃぶだいでつましくご飯を食べながらのたわいもない会話を「モグッ」とか「ゴクッ」とかの擬音をはさんでラップ調にしてるのは今ふう。
この芝居のオリジナルの「君はいつも夢の中で」はなつかしのフォークソング風。

そんな中の松也くん、歌めちゃんこ上手いやんけ!
日経の舞台評に「歌も結構うまい」とあって、「結構?」と微妙な期待を持っていったけど、いい声だー。
もっと歌って欲しかった!
松也くん演じるお岩のシーンだけ歌舞伎同様江戸時代で、歌舞伎俳優の松也くんは当然、他とは違う存在感を醸し出していました。

主役・伊右衛門の佐藤隆太くんは誠実とも不誠実ともとれる優柔不断男ながらも葛藤する男にはぴったり。
1人芝居のシーンは「よく頑張った!」って感じ。

そしてイヤミなヤツ与茂七を演じた小出恵介くんにトキめいた~
なんでだろー?
ネクタイ、スーツ姿で下半身ブリーフ一枚で堂々とポージングとか、「俺のこの長い足」とかいって精一杯シンクの上に足を乗せたりしてププッと笑われてたけど、ブロードウェイミュージカル替え歌の白いスーツ、白いシルクハット&ステッキの姿はオーラあったな~

女優さんたちはお色の峰村さん、お熊の麻美れいさんは程よい毒っぽさと天然さがうまい~。

若手のお梅、お袖の二人は意外と埋没してしまった感・・・

直助、次郎吉の子犬みたいな子猫みたいな少年達が芝居の切ない雰囲気を出していて、相対して勝村さんのザ・昭和DJのチャラさに笑かしてもらったー。

瑳川哲朗さんが見るたびに太って、誰だかわからなくなりつつある・・・
健康面は大丈夫なのかな。

印象的な舞台効果は松の雪吊りを模したライティングや戸板を円形に並べて場面転換。
いにしえの和と現代調が織り交ざった感じを期待していたところのツボに入った気がしました。

カーテンコールでは全員火の玉模様のTシャツにGパンで賑々しく踊っていたけど、松也くんはところどころに歌舞伎見得ポーズ取って、元気に飛び回ってるのが微笑ましく思っちゃいました。
そして微妙に袖のそばの垂れ幕の後ろで小出恵介くんが元気に松也くんの振りをまねてた・・・

歌舞伎の「東海道四谷怪談」の戸板返しや骨肉の争いの部分はなく、社会に翻弄されるものの内面を描くみたいなテーマのようで「東海道四谷怪談」から構想を得たオリジナル作って感じで、そんなにトレースしてないように思います。


騒音歌舞伎(ロックミュージカル)『ボクの四谷怪談』
2012年9月17日(月)~10月14日(日)
BUNKAMURAシアターコクーン



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