日産キューブというクルマは、色々と細かいところのデザインに手が入っており、私としては割と好感度の高いクルマである。今回試乗する機会を得たので、大まかな印象を語りましょう。
バカボンの本官さんのようなフロントマスクのこのクルマ。メーターパネルも、なんだか本官さん風であるところが愉しい。
運転席に座るとその室内空間は、切り立ったサイドウィンドウのために、まさに「マイ・ルーム」といった感じ。なんだか部屋ごと移動しているような気分になってしまう。
ここで私は、あのbBのことを思い出してしまった。キューブとbBは、クルマから発散するイメージは天と地ほどに違うが、そのディメンションは結構似通っている。キューブはbBよりも95mm長いが、15mm高いだけで、ホイールベースは10mm短いだけでしかない。全幅は同じである。また、フロントベンチシート&コラムシフトという点もこの2車の共通項だ。価格的にも結構近いので、実はこの2車は、いいライバルなのかもしれない。実際には、柔和なキューブとイカついbBを比較して迷う人はほとんど無く、どちらかを指名買いする人が大多数だとは思うが。
試乗させていただいたのは、「14X FOUR Vセレクション」(4WD・CVT:税込車両本体価格192万8850円)である。
運転すると、すっきりとした視界とスクエアなフォルムのために、取り回しはとても良い。シートもこのクラスのクルマとしては肉厚な感じで、座り心地も悪くない。足回りもドタバタした感じはなく、そのCVTのフィールと相まって、非常になめらかな走りをする。雪でザクザクになった裏路地を走ってみたのだが、その脚は路面の凹凸を過不足無くいなし、日常的な走行ならば、充分な安定感だ。
日産の「e・4WD」も、スリッピィな路面での発進時においては、充分実用的であると思われる。フロントが空転するやいなや、すかさず後輪がモーターで駆動し、後ろから押し出すかのようにこのクルマを発進させてくれた。
リヤシートを倒した時にそれがフラットにならなかったり、バックドアを開けた時に掃きだしにならない荷室の使い勝手はいまひとつだが、明るい室内デザインや、愛らしいが少女趣味ではないエクステリアなどで、総じていえばキューブはなかなかいいクルマだと思う。
ただ、1.5Lのクルマとしては、値段はやや高いかなァ。最近出たクルマは、原材料費高騰のためか、みんな高いけどネ。私が3年前に買ったレガシィ2.0i(5MT)は当時車両本体価格222万5000円だったが、値引でそれは実質200万円を切っていた。私は、いいタイミングで、クルマを購入したのかもしれない。