湖北路を北上して行くと、沖にぽっかりと浮かぶ、
お椀をふたつかぶせたような竹生島が、もっともま近に見えるあたりに
尾上の漁港がある。
この漁村を抱きかかえるように、平地にひとつだけ、取って据え置いたようにそびえ立つ山が、
その昔、源義経が城を築き、打倒・平家の本拠地とした、山本山である。
梅雨空へ
掲げる白のはや錆びて
愁いぞながし朴の木の花
この地でかの義経は、越前から京の都へ運ばれる、新鮮な魚介類などの運上物を略奪し、
また湖上を駆けては、反平家のゲリラ戦を展開、比叡山の僧兵と応呼して、
遠く鎌倉の頼朝の再起を、今や遅しと待ったという。
「えっ、ちょっと待って、おかしい?」というあなた。
あなたは歴史にお詳しい、でござるよ。この義経は牛若丸、のちの九郎判官ではもちろんない。
だが、始祖を同じくする近江源氏、山本兵衛尉義経である。
同じ時期に、源義経という名の武将が二人いたことも面白いが、
当時の歴史年表を見てみると、実に妙なことがあるのだ。
水運の名残りを語る
丸子船
湖のひろさの帆柱の丈
牛若丸が平泉に行った、ということには証するものか゜不在とか。黄瀬川の兄弟対面の
時期から、初めてその名が登場する。
それ以前に、山本義経の方は「吾妻鏡」に、佐渡へ流罪になったとか、名がある、という。
そして、御曹司義経が活躍する時期には、山本義経は空白。
二人の名が登場する時期が、見事なまでに区分されている。
幾重ねみどりの岬
いろを変へ
びわ湖最北波の静けさ
「つづく」
お椀をふたつかぶせたような竹生島が、もっともま近に見えるあたりに
尾上の漁港がある。
この漁村を抱きかかえるように、平地にひとつだけ、取って据え置いたようにそびえ立つ山が、
その昔、源義経が城を築き、打倒・平家の本拠地とした、山本山である。
梅雨空へ
掲げる白のはや錆びて
愁いぞながし朴の木の花
この地でかの義経は、越前から京の都へ運ばれる、新鮮な魚介類などの運上物を略奪し、
また湖上を駆けては、反平家のゲリラ戦を展開、比叡山の僧兵と応呼して、
遠く鎌倉の頼朝の再起を、今や遅しと待ったという。
「えっ、ちょっと待って、おかしい?」というあなた。
あなたは歴史にお詳しい、でござるよ。この義経は牛若丸、のちの九郎判官ではもちろんない。
だが、始祖を同じくする近江源氏、山本兵衛尉義経である。
同じ時期に、源義経という名の武将が二人いたことも面白いが、
当時の歴史年表を見てみると、実に妙なことがあるのだ。
水運の名残りを語る
丸子船
湖のひろさの帆柱の丈
牛若丸が平泉に行った、ということには証するものか゜不在とか。黄瀬川の兄弟対面の
時期から、初めてその名が登場する。
それ以前に、山本義経の方は「吾妻鏡」に、佐渡へ流罪になったとか、名がある、という。
そして、御曹司義経が活躍する時期には、山本義経は空白。
二人の名が登場する時期が、見事なまでに区分されている。
幾重ねみどりの岬
いろを変へ
びわ湖最北波の静けさ
「つづく」