南向きの小さな庭に、今年も石蕗の黄色い花が満開になりました。
亡き母のうしろ姿や石蕗の花
つわぶきの花には、切ない思い出がいっぱいにあるのです。 梅花藻の水中花がちいさく、
滅びるころの醒ヶ井の清流の岸辺には、散り残る百日紅のはかなげな幻影と、すすきのほかげ、
桔梗の花とともに、やがてふっくらとした石蕗の花が水辺に咲きはじめます。
太古より
湧きつぐ清水醒ヶ井の
母を歩ますつわぶきの花
彦根城の内堀に今も古色を称えながら、「埋もれ木の舎」がある。 大老、井伊直弼が一生を
ここですごそうと決意して、日々国文学・茶の湯・和歌等の世界に余生を送る覚悟をして、
「世に外れた生き方」を、志向した庭園である。 この時期・・・・狭い庭につわぶきの花がけなげで
ある。 ここの石蕗の花を見つめていると・・・・大老とその片腕の長野主膳、三角関係だった
村山たか女のことどもが想われてならないのです。
つわ一輪母直伝の豆腐揚げ
ずいぶんむかし、京の直指庵に寄ったおりも、つわぶきの花の出迎えを受けたことがあった。
群生しているわけではなく、一株、二株のかれんなつわであった。妙にこころに残っているのだ。
矜持なき国に咲きそむ石蕗の花
そして、そして「石蕗の花」といえば、わが友・・・・雅也さんのこの句がある。
灯台の灯の巡りけり石蕗の花 杉 雅也
ボクはこの句を現実には観てはいない。けれど、崖の上から灯が回ってきて光がつわの花を
荘厳するその瞬間の、神々しさ・・・その感動を共有したものである。
つわの花恋しき母はどの星に